ウェアラブルやIoT時代に必須のマルチSIM契約サービス|山根康宏のワールドモバイルレポート

ウェアラブルやIoT時代に必須のマルチSIM契約サービス|山根康宏のワールドモバイルレポート

今やスマートフォン1台あれば何でもできる時代だが、ルーターやタブレット、スマートウォッチなど複数の端末を持ち歩いている人も増えている。それらの端末の中にはSIMカードが入るものもあり、1人で複数回線契約している人も多い。それに伴い求められているのが1回線で複数のSIMカードを契約できる「マルチSIM契約」サービスだ。

1回線で契約内容をシェアできる

2014年11月にY!モバイルは月額980円の追加で最大3枚のSIMカードが利用できる「シェアプラン」を発表した。同社は車のシガーソケットに装着できるモバイルルーターも発表、複数の端末を使いやすいようにと1契約で3枚のSIMカードを使えるプランを新設したのだ。実はこの手のプランはすでに海外では「マルチSIMカード契約」として多くの通信事業者が提供しており、利用者も増えている。

マルチSIMカード契約のメリットは、いちいち複数の回線を契約しなくとも複数の端末にSIMカードをいれて使えるようになることだ。当然料金も1回線にまとめられるため、複数契約時の契約満期日がまちまちになってしまうというわずらわしさも無くなる。

日本では複数回線が必要な場合、お互いを家族回線にして割引を受けるという方法もある。これは海外では実はあまり見られない契約方法だ。しかし結局は回線のつどに契約が必要なうえ、それぞれの無料利用分を最大限に使わないとお得感をあまり感じられない場合もある。

マルチSIMカードサービス
海外ではメジャーになりつつあるマルチSIMカードサービス。複数端末を1回線で利用できる

実はマルチSIMカード契約が複数回線割引契約よりメリットがあるのは、1回線の契約だけで複数の端末を利用でき、しかも無料利用分をそのままシェアできる点だ。複数のSIMカードはどの端末に入れてもよく、無料通話分や無料データ利用分が1回線で共用できる。日本ではソフトバンクの「2台目データシェア」などがあるが、そちらは結局子回線は子回線で別途契約が必要だ。これに対しマルチSIMカード契約は、「契約は1回線のみ」とシンプルなのである。

そのためスマートフォンを使っている人が、あとからタブレットやモバイルルーターを購入した場合、改めて回線契約をする必要は無く別途SIMカードを発行してもらえば済むのである。そしてそれらの端末にSIMカードを差して入れれば、あとは自分の契約している料金プランの無料利用分がそのまま利用できる。

日本では端末購入=契約がセットという状況であり「端末だけ購入」がしにくい状況だ。だが今後SIMフリーのスマートフォンだけではなく、モバイルルーターやウェアラブルデバイスもSIMフリー製品が増えてくるだろう。そうなればマルチSIMカード契約の需要も増えそうだ。

複数の端末から同じ番号で発信もできる

マルチSIMカードのメリットは他にもある。海外の事業者が提供しているマルチSIMカード契約では、複数発行されたサブのSIMカードも、メイン契約と同じ電話番号が付与されるのである。実際はサブのSIMカードの電話番号はそれぞれ異なるのだが、発着信時に親回線の番号に交換機側で変換を行い、同一番号として利用できるようにしているケースが多い。

つまりスマートフォンとタブレットにマルチSIMカード契約のSIMカードをそれぞれ入れておくと、どちらの端末から電話をかけても相手側には同じ電話番号が通知されるのである。これがそれぞれ別契約だと、相手側は知らない電話番号からかかってきた電話は受け取ってもらえないケースもありうる。マルチSIMカード契約なら、そんな心配も無くなるのだ。

なお着信を受ける場合は、複数の端末に着信されると使いにくいことから、端末側の操作でどの端末を着信用にするかを切り替えられるようにできる。スマートフォンをカバンに入れてタブレットを使っているとき、タブレット側から簡単な操作で着信先をタブレットに切り替えることができるわけだ。

現在はこの同番号発信を利用するシーンはあまり思い浮かばないかもしれない。でも実はマルチSIMカード契約の利用に便利な端末がすでに日本でも販売されている。それがサムスン電子の腕時計型端末「Gear S」だ。Gear Sは日本でもドコモからSIMフリー端末として販売されている。ナノSIMカードを入れれば単体で通話もでき、これまでのスマートウォッチにはない機能を搭載している。

サムスン電子のGear S
実はマルチSIMカードサービスに最適なサムスン電子のGear S

このGear Sは普段はスマートフォンとペアリングしておき、スマートフォンに着信があった場合でもGear SにBluetooth転送されGear Sで着信も取れる。そしてGear Sだけを腕にはめてジョギングなど外出した場合、今度はこのGear Sだけで電話を発信したり着信したりもできる。

ではこのGear SにマルチSIMカード契約のSIMカードを入れるとどう便利なのだろうか。スマートフォンを家におき、Gear Sだけで外出した場合、どこかに電話をかければ相手にはスマートフォンから発信したのと同じ電話番号が通知されるのだ。着信もワンタッチでGear Sへ切り替えもできるので、スマートフォンを家に置き忘れた場合でも困らない。

このように腕時計型のウェアラブルデバイスにSIMカードが入っている場合、スマートフォンと別契約をしていれば、転送サービスで着信を受けることはできる。だが転送料金がかかってしまう。しかも電話を発信すると、相手には別の番号が通知されてしまう。マルチSIMカード契約ならばその心配はないのである。

日本も今後、SIMフリー端末が増え、端末を気軽に2台持ちすることもできるようになるだろう。またウェアラブルデバイスや家電、インターネットに接続できる機器(IoT=インターネット・オブ・シングス)も増えてくる。複数端末を1回線契約で利用できるマルチSIMカードサービスは、いずれ日本でも各社からサービスが相次ぐようになるだろう。

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