激安タブレットの次は3000円スマホ、スマホはコンビニ販売が普通になる?|山根康宏のワールドモバイルレポート

激安タブレットの次は3000円スマホ、スマホはコンビニ販売が普通になる?|山根康宏のワールドモバイルレポート

今やスマートフォンが無料で買えるのは当たり前だが、当然のことながら2年契約が必要だ。またスマートフォンがタダな代わりに毎月の基本料金は1万円近くになってしまうケースが多い。このような販売方法は日本や欧米などの先進国でよく見かけられる。

インドの激安スマホの実力は?

これに対して新興国や途上国では、毎月の基本料金が1000円以下でスマートフォンを利用しているユーザーも多い。通信事業者側もこんなに安い料金では、ハイスペックなスマートフォンを低価格で販売するのは難しい。そこでこれらの国では単体で買える、SIMフリーの1万円台の低価格なスマートフォンが人気になっている。この価格の製品ならば、分割払いしても毎月必要なのは1000円程度、低所得者でもなんとか買える金額だ。

だがインドでそんな低所得者でも簡単に一括購入できる、さらに低価格な激安スマートフォンが発売された。それがDatawindの「PocketSurfer 2G4」だ。価格はわずかに1999ルピー、約3800円。この価格は当然のことながらSIMフリーである。

もちろんこの価格を実現するために性能はかなり抑えられている。CPUはシングルコアの1GHz、ディスプレイは3.5インチ、カメラは30万画素(300万ではない)だ。そして通信方式も2GのGSMのみと、先進国では商品価値は無いに等しい製品だろう。

Datawindの3000円スマートフォン
Datawindの3000円スマートフォン。低スペックだが低所得者でも楽に買えるのは現地で大きな魅力だ

しかしインドのような新興国や途上国では、まだ携帯電話すら持っていない国民も多数いる。使い古された中古のフィーチャーフォンを修理しながらだましだまし使っているようなユーザーもまだまだ多いのだ。「世界中の誰もがインターネットにつながり、情報共有やメッセージをシームレスにやり取りできる」。iPhoneがあればそんな世界が現実のものになるように思えるだろうが、それは先進国の一方的な発想だ。新興国や途上国ではこのような低価格スマートフォンがインターネットへの窓口を開いてくれるのである。

実はこのDatawindは2011年にインド政府と共同で、当時として世界最安のタブレット「Aakash」を発売したこともある。Aakashはインドの学生のインターネット利用を大きく促し、学生のITリテラシー引き上げに大きく役立った。そして今回は国民全体をターゲットにすべく、格安スマートフォンの開発・販売にこぎつけたのである。

なお上位モデルの「PocketSurfer 3G4」なら価格は2999ルピー(約5710円)とちょっと高くなるものの、ディスプレイは4インチ、500万画素カメラに3G対応とそれなりに使える製品になっている。

Datawindのスマートフォンラインナップ
Datawindのスマートフォンラインナップ

LTEスマホも9000円で買える時代に

遠いインド、しかも低スペック製品の話ではなんとなく日本には関係の無いことと思われるだろう。と言うことでお隣の中国の低価格スマートフォンの状況にも触れておこう。中国と言えばXiaomi(シャオミ)というメーカの名前が日本でもよく聞かれるようになってきた。中国のアップルとも言われるが、その戦略はアップルとは真逆であり、アップルを真似したから成功したと勘違いしてはしっぺ返しを食らう。

Xiaomiの成功理由には様々なものがあるが、この1年の大躍進を支えているのは低価格スマートフォンの存在だ。Xiaomiにはメーカー名と同じ「小米(Mi)」と、もう一つの「紅米(RedMi、HongMi)」という2つの製品ラインがある。このうち爆発的に売れているのは低価格品の紅米で、値段は中国人民元で1000元(約1万9200円)を切る。もちろんこれも単品販売、SIMフリーである。

紅米の上位モデル「紅米Note」は5.5インチディスプレイ(解像度HD)に1300万画素カメラを搭載、LTE/W-CDMA/GSM対応。価格は上位モデルが899元、約1万7250円で2万円以下で買えてしまう。

日本でも十分通用する紅米Note
日本でも十分通用する紅米Note

とはいえこの価格なら、日本でもうちょっと出せばASUSのZenFone(2万円台後半)が買える。紅米Noteの値段は確かに安いが「まあ中国だから少し安いんでしょ」というレベルかもしれない。しかし低価格化はこのXiaomiの予想を超える勢いで進んでおり、この半額レベルの製品も続々と登場しているのである。

実は中国のスマートフォンは、Xiaomiが初代の「紅米」を2013年夏に発表してから、着々と価格下落が起きているのだ。当初は1000元切りで3G対応だったものが、LTEに対応し、900、800、700と少しずつ値段が下がっていった。最近では日本でもノートPCやタブレットでおなじみのLenovoが真っ黄色のボディーが特徴の「K3」というLTE対応スマートフォンを2014年末に599元で販売するに至っている。日本円にするとわずか約1万1500円だ。

LenovoのK3、ニックネームは「レモン」
LenovoのK3、ニックネームは「レモン」

こうなると1万円を切るLTEスマートフォンがいつ出てもおかしくない状況だが、2015年春には数社から相次いで499元、約9580円の製品が登場した。この値段はもはや先進国ならコンビニで売ることも十分できる価格だろう。スペックはまだ低いものの、各社の競争が激しくなればディスプレイやカメラの性能はさらに良いものになっていくだろう。これら中国メーカーの低価格・高性能なスマートフォンはアジアを中心に着々とユーザー数を増やしている。

TCLのP332Uは4.5インチFWVGAディスプレイに300万画素カメラ、LTE対応で499元
TCLのP332Uは4.5インチFWVGAディスプレイに300万画素カメラ

ハイスペック・高品質なスマートフォンはこれからも無くなることは決してないが、スマートフォンを消耗品感覚で使いたいと思う人もいずれ増えてくるだろう。そしてその需要は先進国にも広がるはずだ。今年の年末には日本でもMVNO向けに1万円を切るSIMフリーのLTEスマートフォンが販売されているかもしれない。

この記事が気に入ったら
いいね ! をお願いします

Twitter で

山根康宏のワールドモバイルレポートカテゴリの最新記事