スマートフォンに故障はつきもの。調子が悪くなった時に自分でパーツを交換できれば便利だ。あるいは使っているスマートフォンがそろそろ古くなったなあと感じたとき、中のパーツを最新のものに交換できればさらに使い続けることができるだろう。そんな夢のようなことのできるスマートフォン『Fairphone2』がこの秋にも発売される予定だ。
スマホ本体をネジ一本でパーツごとに分解可能
Firephoneが手掛ける『Fairphone』シリーズ、その1機種目はスマートフォンを構成する部品の出所を明確にした「フェア」な製品として昨年キックスターター経由で発売された。Fairephoneの目指すのは消費者が安心して使えるスマートフォンなのだ。その第二弾として登場するFairphone2は、エコと無駄をなくした製品である。

Fairphone2は電池カバーと電池が簡単に外せることはもちろん、本体のフレーム部分もワンタッチで分解することができる。内部にはスマートフォンを動かすためのCPUやモジュールがパーツごとに分かれて詰まっており、それぞれはネジで留められている。時計ドライバー1本あれば購入者が簡単に分解して各パーツごとに分解することが可能なのだ。Fairphone2は以下7つのパーツによって構成されている。
1.電池カバー
2.バッテリー
3.トランシーバーユニット(CPUや本体メモリ、SIMスロットなどを搭載)
4.ディスプレイユニット
5.レシーバーユニット(カメラや各種センサーなどを搭載)
6.フロントカメラユニット
7.スピーカーユニット
スマートフォンを落としてしまい、ディスプレイを割ってしまう人も多いだろう。メーカーに修理に出せば戻ってくるまで数日かかるし、そうでなくとも時間を作って修理センターへ行かねばならない。だがFairphone2ならばディスプレイユニットを注文し、それが家に届いたら自分で簡単に交換できるのである。

他にも本体の調子が悪くなった場合は、トランシーバーユニットを丸ごと交換するなどすればOKだ。もちろんそのためにはどのパーツを交換すべきかを診断するアプリが提供される必要がある。とはいえスマートフォンの調子が悪くなってもパーツを変えるだけですぐに直せれば、もう修理に出す必要すらなくなるのである。
そしてFairphone側は、顧客から受け取った故障したパーツを再利用することを考えている。ディスプレイが割れてしまっても、それに取り付けられているケーブルなどは再度使うことができる。Fairphone2はこのようにパーツを使い捨てるのではなくリユースする、地球環境に優しいエコな製品なのである。

新機種買い替えも不要?パーツ交換でアップグレード
そしてパーツごとにモジュールを交換できるということは、今後新しい機能を追加したり高速なCPUに乗せ換えて性能を引き上げることも可能になるのだ。一例としてFairphone2にはNFCが搭載されていないが、今後NFCを搭載したモジュールが提供される予定だという。またカメラ部分を赤外線カメラのモジュールに交換すれば、特殊用途にも利用できる。バーコードリーダーやワイヤレス充電モジュールなど、後から物理的な機能を追加したい場合でも、Fairphone2なら簡単に行えるわけだ。

今やスマートフォンは毎年のように高速化が進んでおり、最新のCPUや高速通信に対応した製品が欲しいと思えば、高いお金を出して本体を買い替えるしかない。だがFairphone2ならば、新型CPUを搭載したトランシーバーユニットを交換すれば今まで使っていたスマートフォンが最新製品に早変わりするのだ。もちろんトランシーバーユニットはスマートフォンの心臓部でもあるので価格は高いだろうが、それでも最新製品に買い替えるよりはかなり安い値段で提供されるだろう。
このようにパーツやモジュールを組み合わせてスマートフォンを拡張できる製品は、Googleが「「Project Ara」として現在開発を行っており、年内にも製品が登場予定とされている。とはいえこのProject Araはパーツ間が直接通信できる高度な製品であり、コストや開発の敷居は高いものになるかもしれない。様々なパーツが登場すればスマートフォンの概念を変えるものになるだろうが、世界中のスマートフォンがProject Araに置き換わることは無いだろう。

これに対してFairephone2は、既存のスマートフォンがコストダウンや効率化のために内部を一体化したり分解しにくい構造にしているものを、そのまま分解できるようにした製品だ。つまり既存のスマートフォンにちょっと手を加えるだけで作り上げることができる。
自分で修理が可能で、また将来のアップグレードもパーツ交換で自在にできるFairphone2、販売価格は525ユーロが予定されている。CPUにSnapdragon801を採用するなど高スペックな製品なので価格は妥当なところかもしれない。欲を言えばコストやエコを意識するユーザー向けにミドルレンジ、3-4万円クラスの製品も投入して欲しいところ。いずれにせよ製品の実売が楽しみだ。