株式会社ウェブレッジは東京ビッグサイトで開催された、「Japan IT Week春 第9回 Web&モバイルマーケティングEXPO」にて、2015年5月14日(木)~2015年5月15日(金)の2日間、ウェアラブルデバイスやIoTに関するトークセッションを行いました。本記事では、当日のトークセッションより一部抜粋して、皆様に御覧に入れます。また、こちらより全文掲載の完全版のトークセッションも無料ダウンロードいただけます。
講師紹介
2日間行われた本トークセッション。1日目は、以下の3名によるセッションが行われました。
▽池端隆司
(携帯電話博士 株式会社ウェブレッジ取締役)
▽山根康宏
(携帯研究家 株式会社ウェブレッジ外部アドバイザー)
▽河瀬航大
(スマートロックロボット「Akerun」生みの親 株式会社フォトシンス代表取締役CEO)
また、別記事では2日目に行われたトークセッションもご覧いただけます。
2日目には池端隆司に加え以下の2名によるトークセッションが行われました。
★スマートグラス「雰囲気メガネ」のエバンジェリスト 河村和典
★ウェアラブルの伝道師 塚本昌彦
⇒2日目の記事はこちらから。
【トークセッションVol.2】ウェアラブル、IoT、モバイルのココだけのハナシ
それでは、トークセッションをお楽しみください。
MVNOは広まるのか?
司会「(前略)それでは、次に行きたいと思います。次も携帯系の話なんですけども、『MVNOは広まるのか?』というお題でございます。(中略)MVNOは仮想移動体通信事業者ということで、格安のSIMで低価格の通信ができますよっていうことが大きな特徴です。最近のニュースを見ていてもSIMフリーの話題も多いですよね。実際、海外では既にまわっているようですが、日本だと今後、どうなんでしょう。」
山根「ずばり言ってしまえば飛行機のLCCと全く同じと考えた方がいいと思います。最近沖縄まで980円とか、台湾まで2000円とかで行けるようになったじゃないですか。それで、最初LCCは危ないとか色んな事が言われていました。しかし、週末気軽に手ぶらで小籠包を食べに行きたいような人にとっては、そんなことはあまり気にしないので、安ければいいわけですよね。落ちてくれさえしなれば。ですので、LCCでいい人はJALなどに乗らなくて良いですよね。ところが、携帯の世界はまだLCCみたいにはなって無い状態です。格安SIMは既にありますが、やっぱり一般ユーザーは高くても良いから、よくわからないことや問題が発生したら、キャリアの窓口に行って相談できるという安心感があるので、結局一般ユーザーはキャリアで携帯を買うじゃないですか。ですから、極端に言えば格安航空会社のピーチなどがMVNOをやったら上手くいくかなと、”ピーチSIM”と。するとピーチのSIMだからサービスは少ないけど安いなってわかりやすいじゃないですか。今のMVNOが間違っているのは、MVNOの会社も携帯キャリアさんだからサービスを良くしようと思ってしまっていること。『安いからこれだけのサービスしかありませんが、でも激安ですよ』と言う風にならないとだめかと思います。もっと思い切って、お客さん方に、『飛行機で言えばLCCですよ、我々はサービスはありませんが、こんなに安いですよ』っていうのをお客さんにMVNOの会社が一所懸命にアピールすれば流行るかなと思います。『安いけど品質もこんなにいいです』と、売りだしちゃうとなかなか難しいかなと思っております。」
司会「ありがとうございます。では、河瀬さんも宜しければお願いします。」
河瀬「そうですね、まさに物にインターネットが乗るというIoTの文脈ではMVNOとかフリーのSIMは非常に重要だと思います。最近は結構数が出てきてますけども、今後も月額数百円といったSIMがもっと出てこないと、IoTも全然広がらないのかなと思います。MVNOがもっと広まることには期待をしているというのが僕の意見です。」
~中略~
Akerunの今後の展開・IoTの動向について
司会「ありがとうございました。ちょうど今※1.Akerunの話が出たので、伺いたいと思いますが、このAkerun、今後どのような展開を考えているか、またIoT全般で今後どういう風に世の中が変わって行くのか、スマートハウスなどのキーワードがあると思うのですが、そのあたりについてご意見お聞かせいただければなと思います。」
※1.ドアに貼り付けるだけで、スマートフォンが鍵になるスマートロックロボット。株式会社フォトシンスより販売。河瀬はその株式会社フォトシンスのCEO。
河瀬「Akerunは、サムターンと言われる家の鍵(LA錠、MA錠など)にフィットさせて、鍵を開け閉めするハードウェアなのですが、これだけでは、スマートフォンが鍵となって家の鍵が開くというものでしか無いので、今後は対応する鍵を増やしていきたいです。例えばホテル錠。ホテルの鍵は若干形が違うんですね。そういったものに対応していくことをどんどん徹底していって、僕らのミッションとしては物理的な鍵を無くしていきたいということが思いとしてあります。今カバンの中に入れて持ち歩いているものって、ノートもペンも場合によっては既に持ち歩かなくてiPadとか、Kindleに変わっています。しかし、鍵だけが4000年間物理的な存在であったので、これはいつも持ち歩いているタブレットやスマートフォン、スマートウォッチなど、そういったもので全部できてしまえば『超Coolだよね』という世界を僕らは描いていまして、それを実現するためにゴリゴリやっています。また、IoTの今後の広まるかという可能性は、現在、僕が抱えている課題ということにもなります。課題の解決策としては、今後ソフト側がどれだけ充実するかというところにあると思っていて、ハード自体にはあまり期待してはダメだと思っていて、ソフトによってどういった価値が生み出せるかということをしっかり考えなきゃいけないと思っています。なので僕らもそういった課題に意識は持っています。テクノロジーありきだとユーザーファーストじゃないので。当然、スマートハウスも同じような疑問があります。どうしてもモノ作りはメーカー出身の人達が考えてしまうので、“省エネ”や“見える化”で終わってしまって、じゃあ省エネや見える化はユーザーにとって“便利”になるんだっけとか、どこかに楽しいことがあるんだっけというところまで考えられていないので、そこはしっかり考えて作りこんで行く必要があるなと思っていますね。一言で言えば用途開発ですね。」
~中略~
スマフォは将来無くなる?
司会「ありがとうございます。じゃあ次に行きたいと思います。次はスマフォはいつか無くなるのかっていうことでして、池端さんの書籍に書いているんですけれども、その本にはスマフォは制御装置だけ残って、あと先程とちょっと似ているんですけど液晶の部分はなくなるんじゃないか、例えばポケットに制御装置を入れておくと近づいた時にモニターが付いたりだとかウェアラブルと連携したりだとか、そういう時代になるんじゃないかという、話があったと思うんですけれども、何かその辺りで面白いお話とか解説とかあれば。」
池端「既にスマフォは腕時計の位置を奪ったと思うんですよ。皆、携帯やスマートフォンをもって時計は着けなくなったと思うんですよね。ただ、今後は先程言った腕時計としての機能に特化したスマートウォッチ(カシオ腕時計EDIFICEのようにアナログ時計でありながらスマートフォンと連動し、時間調整などの機能が使える腕時計。)が広まり、腕時計がスマフォの時計機能を奪い返すといったようにスマートフォンから色々な機能が剥がれていくんじゃないかなと思っています。例えばソニーさんから出ているレンズスタイルカメラはスマートフォンのカメラだとできないような光学ズームだとか、より高画質な写真を撮れるというものもあります。そういったように色んなものが外れていく気がします。『スマートフォンでやっている行為がそもそも最適なのか?』『文字を入力するフリック入力などのテンキーのインターフェイスがあるが、そもそもスマートフォンで入力することって本来便利なのか?』『スマートフォンのディスプレイで何か情報を見ることは良いことなのか』など、そういったことを考える時代が来ると思うんですね。その表示方法や入力方法が今何っていうのは、はっきりは言えないですけど、将来スマートフォンと言われるようなものはフリスクみたいな小さい物になって胸ポケットに入れておくだけで・・・(後略)」