海外でのデータ利用も「無料」で使える、国内外データ共通プランが増えている|山根康宏のワールドモバイルレポート

NO IMAGE

今やLCC(格安航空会社)を使えば気軽に海外に行ける時代になった。しかし海外でスマートフォンを使う場合は注意が必要だ。大手事業者は海外でもデータ通信が定額で利用できる国際ローミングサービスを提供しているが、1日あたり約3000円かかってしまう。ドコモは低利用者向けにより安い料金を出しているものの、写真や動画を頻繁に送ったり見ていればあっという間に上限に達してしまう。また月の半分が海外出張、なんて国際派ビジネスパーソンにとっては毎日のローミング代も馬鹿にならない。

しかしauが8月から始める「世界データ定額」を利用すれば、1日あたり980円で日本の契約の無料データ利用分が利用できるようになる。つまり日本で毎月5GBや7GBといったデータプランに加入していれば、その無料利用分をそのまま海外で利用できるのである。1日あたり追加で980円がかかるものの、1週間海外に出た場合、以前であれば2万円程度かかっていたローミング料金が7000円程度で済むことになる。自分の無料データ利用分を使うとはいえ、別途レンタルルーターを借りる必要も無く、思い立ったときすぐに海外に出ることが出来るわけだ。

海外ローミングの料金の値引きや定額サービスは海外を見るといくつもの事業者がサービスを提供している。中でも香港の事業者は中国大陸との往来客が多いことから、香港と中国の完全データ料金共通プランを出している。中でも中国系の2社が料金競争を繰り返した結果、今ではその2カ国を超えてマカオと台湾、さらには日本やシンガポールなどを含んだアジア均一料金も生まれている。つまり香港のスマートフォン利用者は追加料金を気にせずに、香港周辺国で自在にデータ通信を利用することができるのだ。

中国移動香港の「大中華」プラン。香港・中国・台湾・マカオでデータ利用分が共用化
中国移動香港の「大中華」プラン。香港・中国・台湾・マカオでデータ利用分が共用化

香港、中国、台湾、マカオの4カ国のデータ共用サービスを提供しているのが中国移動香港だ。同社は中国大陸の中国移動の子会社。そのため古くから香港と中国の2カ国でデータ利用分の共用サービスを提供していた。最近ではプリペイドSIMでも2カ国共通料金プランを出しており、香港経由で中国に入る旅行者にも便利な製品となっている。だが後述するライバルの中国聯通香港が4カ国共通、さらには7カ国対応プランを出したことから、マカオと台湾を加えた「大中華」4カ国でのデータ利用分を共通化させた。資本関係のないマカオや台湾の事業者のデータ料金まで自社負担することになるが、両国へ出かける旅行者や出張者はデータ通信だけではなく音声通話も利用するだろう。音声通話は別途ローミング料金がかかることから、そちらで少しでも負担分を回収できると見込んでいるのかもしれない。

中国聯通香港は大中華+3カ国で合計7カ国にサービスを広げる
中国聯通香港は大中華+3カ国で合計7カ国にサービスを広げる

一方、中国聯通香港は大陸の中国聯通の子会社であり、香港ではMVNOとして事業展開を行っている。そのため香港内でも料金を安く出しており、中国大陸側との料金統一も中国移動香港に負けじと行ってきた。4Gへの対応は遅かったものの、大陸側の中国聯通の4Gネットワークが広がるのを待ってから、香港と中国の4G共用プランを開始。さらには台湾とマカオを追加。そしてこの4月からは日本、シンガポール、オーストラリアの3カ国を1ヶ月38香港ドル(約530円)の追加で利用できるようにした。

例えば5GBプランの料金は398香港ドル/月(約5500円)。これを日本で使うと合計約6030円/月となるが、まるまる5GBを日本で使ってもよいのだ。外国人が日本で携帯回線を契約することは現実的には不可能だが、香港の契約者なら日本で契約をしなくとも、そのまま5GBを使うことが可能というわけである。

シンガポールのStarHubの「Happy Roam」は8カ国対応、欧米も含まれる
シンガポールのStarHubの「Happy Roam」は8カ国対応、欧米も含まれる

もちろんプリペイドSIMを買えば外国人でも日本でデータ通信を利用することはできるが、母国の無料分をそのまま海外でも利用できるメリットは大きい。現地で別途SIMを買う必要も無いし、母国に帰ればSIMを入れ替えることなくそのまま使い続けることもできるからだ。

この国内外のデータ共用プランは他国でも少しずつ広がりを見せている。先日筆者が訪問したシンガポールでは、プリペイドSIMでマレーシア、インドネシア、タイ、香港、台湾、オーストラリア、イギリス、アメリカのデータ料金が共用で利用できる。シンガポール周辺国だけではなく、欧米でも利用できるのは長距離旅行者にとって便利だろう。一方、イギリスの通信事業者3UK(Hutchison UK)は18カ国でデータ共用できる「Feel At Home」を提供中だ。他国での利用は現在は3G回線のみ、テザリングは利用できないものの、ヨーロッパやアジアで追加料金不要で自分のスマートフォンが利用できるのは有用だろう。

イギリスの3UKは18カ国と1地域でデータ利用分を共用化している
イギリスの3UKは18カ国と1地域でデータ利用分を共用化している

さてアジアには国を超えた通信事業者間のアライアンスが存在する。ドコモなどが参加するConexus Mobile Allianceと、ソフトバンクなどが参加するBridge Allianceだ。どちらも表立ったサービスの提供はここのところ行っていないが、誰もがスマートフォンを使う時代になった今、国際ローミング時のデータ通信料金の共有化や割引を実現してほしい。そしてauに対抗すべく、ドコモやソフトバンクから「追加料金なしにアジアはデータ利用分共通」なんてサービスがこれから出てきてほしいものである。

この記事が気に入ったら
いいね ! をお願いします

Twitter で

山根康宏のワールドモバイルレポートカテゴリの最新記事