スマートウォッチは機能からデザインへ、腕時計メーカーの存在感も高まったIFA2016|山根康宏のワールドモバイルレポート

スマートウォッチは機能からデザインへ、腕時計メーカーの存在感も高まったIFA2016|山根康宏のワールドモバイルレポート

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スマートフォンと接続して連携操作ができるスマートウォッチ。一時は毎月のようにスマートフォンメーカーから新製品が登場していたが、最近はその数も減り、市場での反応も今一つという状況になっている。一方で腕時計メーカーや家電メーカーからのスマートウォッチが数を増やしており、派手な新製品発表会が行われない反面、量販店の家電売り場やスポーツ用品店などで存在感を高めている。

スマートウォッチはスマートフォンを取り出さなくとも、メッセージの着信が受けられるなど、スマートフォンに届いた通知を腕時計の画面や振動で知ることができる。それに加えてアプリを入れれば、簡易的なスマートフォンのように時計の画面内で様々なことができる点が大きな特徴だ。しかし2インチ程度の小さな画面で出来ることは大きく限られている。画面のタッチ操作もしにくいし、竜頭(りゅうず)を使う操作も実は使いにくい。スマートウォッチで何かをしようと思ったら、結局はスマートフォンを取り出したほうが早い。「スマートウォッチがあれば、スマートフォンが無くても大抵のことはできる」というのは、実は幻想だったのだろう。

2016年9月にベルリンで開催された家電とITのトレードショー「IFA2016」の会場では、そう思わせる動きがあちらこちらで見られた。各社が出展していたスマートウォッチの新製品は、機能よりもルックスをアピールする製品ばかりだったのだ。

時計らしいデザインを追求したSamsungのGear 3
時計らしいデザインを追求したSamsungのGear 3

例えばSamsungが発表した「Gear S3」は、ディスプレイサイズを従来品よりも一回り大きくした製品である。画面サイズが大きくなれば指先での操作もよりしやすくなるが、UIはこれまでの製品とは変わらず、また大型化した画面に合わせたアプリやサービスの発表も無かった。Gear S3のウリは高級腕時計でも使われている素材と同じステンレスを使ったボディーと、大きい画面の採用により、アナログの腕時計により近い文字盤(フェース)にカスタマイズできること。つまり中身よりも外見に注力した製品なのだ。

また昨年発売した「Gear S2」も併売されるとのことからも、Gear S3はGear S2の機能を一新した新モデルというよりも、形状とデザインを変えたバリエーションモデル、という位置づけであることがわかる。

ASUSが発表した「ZenWatch 3」も、やはり外観に注力した製品だ。ZenWatchはこれまで正方形のディスプレイを採用していたが、今度の製品からは円形のディスプレイとなり、見た目もクラシカルなアナログ腕時計ライクとなった。ZenWatch 3はOSにグーグルのAndroid Wearを採用しているが、注目されたのはそちらよりもチップセットにクアルコムのスマートウォッチ向け「Snapdragon Wear 2100」を採用したことで、スマートウォッチそのものの機能としての進化は見られない。

ASUSもついに丸形ウォッチに参入した
ASUSもついに丸形ウォッチに参入した

このようにスマートフォンやPCメーカーのスマートウォッチが「腕時計化」する中で、時計メーカーのスマートウォッチはすでにある腕時計にスマート機能を搭載することで、本来の腕時計としても使いやすい製品を続々と投入し始めている。

IFA2016のFOSSILブースには、傘下ブランドの製品も合わせ、多数の円形型スマートウォッチが展示されていた。その中でもSkagenがこの秋発売予定のスマートウォッチは、一見すると普通の腕時計にしか見えないデザインが大きな特徴だ。文字盤の中には小さなサブの文字盤も搭載しており、スマートフォンと接続することで、1日の運動量の目標値を設定、その進捗が短針で示される。また着信があると短針が動き、あらかじめ設定してた着信者のだれから電話がかかってきたかを表示してくれる。

Skagenのスマートウォッチは、腕時計にしか見えないデザインだ
Skagenのスマートウォッチは、腕時計にしか見えないデザインだ

しかもわずらわしい充電操作も不要。ボタン電池で動くために、電池の交換は頻繁に行う必要が無い。それにもかかわらずスマートウォッチとして一般的な歩数計測などもできるので、日々の運動量の測定も可能だ。

インテリアにも調和するオシャレなデザインのIoT製品を出しているWithingsは過去に複数のアナログデザインなスマートウォッチを販売してきたが、IFA2016では小型の液晶モニタを搭載した新製品「Steel HR」を発表した。文字盤全体をディスプレイにするのではなく、まるで昔の腕時計の日付表示部分のように、文字盤の一部だけを液晶化するアイディアは、デジタルとアナログの融合の一つの方向かもしれない。

アナログな文字盤に、デジタルの小さい画面を内蔵させたSteel HR
アナログな文字盤に、デジタルの小さい画面を内蔵させたSteel HR

ITメーカー、腕時計メーカー、どちらもスマートウォッチで目指している方向は、今や同じ向きになっているように感じられた。むやみやたらに機能を追加することよりも、まずは腕時計として毎日はめたくなるようなデザインとすることが、スマートウォッチの基本的な要素と各社は考えているようだ。

さて各社が円形のスマートウォッチへ動く中、Appleだけは頑なにスクエアな画面サイズにこだわっている。Appleとしてはアプリの利用などスマートウォッチにも高度な機能を提供し、そこからビジネスチャンスを得ようと考えているのだろう。しかし9月7日に発表されたApple Watch 2も基本機能は大きくは変わらなかった。果たして消費者は円形になった各社のスマートウォッチに興味を示すのか、この冬商戦の動きに注目したい。

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