スマホよりも面白い!?持ち運びできるモバイルPCの世界が熱くなってきた|山根康宏のワールドモバイルレポート

スマホよりも面白い!?持ち運びできるモバイルPCの世界が熱くなってきた|山根康宏のワールドモバイルレポート

アップルのiPhone 7やグーグルの新型スマートフォン「Pixel」シリーズが登場しているものの、昨年ほどの盛り上りは見せていない2016年秋冬のスマートフォン市場。機能面での差別化は各社難しくなりつつあり、新しいサービスも実用性を考えるとまだまだ真の生活アシスタントになるかと言えば疑わしい。既存の技術のブラッシュアップも進んでいるが、1-2年前のスマートフォンから買い替えるほどの原動力にはならないだろう。

スマートフォンの製造が容易になったことから、ここ数年で数多くのメーカーが市場に参入している。全くの異業種からの参入もあれば、PCメーカーが製品ラインナップの拡大のためにスマートフォンを手掛ける例も増えている。レノボ、ASUS、HPといった老舗のPCメーカーもスマートフォンを次の柱と考え、新製品を次々と送り出している。だが低価格機でシェアを高めつつあるASUS以外のメーカーは、今ひとつ存在感を表せていない状況だ。

そんな中、レノボから「モバイルタブレット」と呼べそうなノートPCが発売になった。レノボの「Yoga Book」はノートPCとタブレットの両方のスタイルで利用できる、いわゆる「2in1」と呼ばれるカテゴリの製品だ。だが多くの2in1ノートPCがディスプレイ部分を取り外してタブレットにするのに対し、Yoga Bookはキーボード部分を反転させることでタブレットとして利用できる。

Cellebrite UFED Touch2 いわゆる「2in1」ノートPCながらも、キーボード部分がタッチパッドのYoga Book
Cellebrite UFED Touch2 いわゆる「2in1」ノートPCながらも、キーボード部分がタッチパッドのYoga Book

このような構造のノートPCは今までにも例があったが、Yoga Bookのすごいのはその本体の薄さだ。ディスプレイ部分は4.05ミリ、キーボード部分は5.55ミリ。つまり閉じた状態でも9.6ミリと、スマートフォンと変わらぬ薄さなのだ。この薄さでも剛性は高く、降り曲がったりする心配はないという。

そして5.55ミリ厚のキーボード部分は、物理的なキーボードはなく全体がタッチパッドになっている。タッチパッド部分にあるペンの絵のアイコンをタッチすると、LEDライトでキーボードが投影され、文字入力が可能になるのだ。全体をペンで使いたい時は、ペンアイコンを再びタッチすればよい。タッチパッド部分は専用のスタイラスペンを使えば手書きで自由な書き込みができる。しかもこの上に紙のノートを置いて、紙に書いたものをそのまま画面上にも描くことも可能なのだ。

Cellebrite UFED Touch2 タッチパッド部分はキーボードを投影し、キーボードとしても使える
Cellebrite UFED Touch2 タッチパッド部分はキーボードを投影し、キーボードとしても使える

タッチパッド部分を反転させてディスプレイの裏に織り込めば、厚さ9.6ミリのタブレットとして使える。重量も690グラムと軽く、閉じた状態からタッチパッドが開くとは思えぬ出来上がりだ。

「Yoga」の名前を冠したノートPCは、2011年に発表した「IdeaPad Yoga」が最初の製品だった。本体とディスプレイを繋ぐヒンジは2カ所で、パッと見ると普通のノートPCとは変わらないデザインながらも、ディスプレイ部分を反転させてキーボード(本体)部分の裏側に収納し、タブレットとして使うことができた。とはいえ厚みがあることや、当時のWindows OSでのタブレットの使い方には難点があったことなどから、商業的に成功した製品にはならなかった。

しかし2014年に発表した「Yoga 3 Pro」では新たに設計した「ウオッチバンドヒンジ」を採用。時計の金属バンドをかみ合わせたかのような構造により、360度どの位置でもディスプレイがぴたりと止まり、しかも長年使っているうちに緩むようなことも無くなった。そしてこのヒンジの採用で本体の薄型化も可能になったのだ。

Cellebrite UFED Touch2 ウオッチバンドヒンジの構造。複雑に組み合わさったギアがしっかりとしたヒンジとして動く
Cellebrite UFED Touch2 ウオッチバンドヒンジの構造。複雑に組み合わさったギアがしっかりとしたヒンジとして動く

Yoga Bookはこのウオッチバンドヒンジが無ければ生まれなかった製品だろう。ウオッチバンドヒンジのおかげで薄さを損なわず、しかも自由な角度でディスプレイを開くことができるのだ。タッチパッドに投影されるキーボードの押し具合は本物のキーボードにはかなわないものの、ソファーに寝ころびながらSNSのタイムラインにレスを書く、なんて使い方なら十分文字入力できる。動画を見たりWEB閲覧したい時は、タッチパッド部分を閉じてしまえば普通の薄型タブレットとして使うこともできるのである。

さらに驚くべきはその価格設定である。OSはAndroid版とWindows 10版が用意され、それぞれWi-FiモデルとLTEモデルの2種類が提供される。最安値となるAndroid Wi-Fi版の価格は3万9800円(税別)と、キーボード搭載の薄型端末としては格安ともいえる値段だろう。CPUがAtomということでWindows PCとしての性能は低いものの、Yoga Bookはモバイル向けの製品であり、これを使って3Dゲームや画像処理を行うものでは無い。スマートフォンに加えてタブレットを持ち運びたい人にとって、PCにも返信するYoga Bookはお勧めの製品になるだろう。

Cellebrite UFED Touch2 形状も自在、ノートPCを超えた使い方のできるYoga Book
Cellebrite UFED Touch2 形状も自在、ノートPCを超えた使い方のできるYoga Book

さてYoga Book以外にも、持ち運びできるPCがこれから登場しようとしている。新興メーカーのOckel Computersが開発したポケットサイズPC、「Ockel Sirius A」だ。本体サイズは縦横が150×85センチ、厚さは最薄部が6ミリ、端子のある背面側でも20ミリほど。そしてこの大きさの中に6インチのディスプレイを搭載している。バッテリーは3000mAhで3時間の単体利用も可能である。

本体後方には外部ディスプレイ出力やUSB端子も備えているので、ホテルの部屋や自宅では大画面のTVに接続し、キーボードやマウスを繋いで利用することも出来る。利用しながら充電しておけば、次の移動中にOckel Sirius Aを使うことも出来る。

Cellebrite UFED Touch2 手の平に乗る超小型PC、Ockel Sirius A
Cellebrite UFED Touch2 手の平に乗る超小型PC、Ockel Sirius A

Ockel Sirius Aはいわば6インチの小型タブレット、あるいは大型スマートフォンのサイズを厚くし、そこにPC用のコネクタを内蔵した製品、と見ることも出来る。そしてこのサイズでWindows 10が動作するので、そのまま仕事用途などにも使える点は大きなメリットだ。クラウドファウンディングサービスのIndiegogoで製品化のための出資を募集中で、初期投資者は449ドルで予約できる。

スマートフォンさえあれば何でもできる時代になったとはいえ、場合によっては大きい画面やキーボードを必要とすることもあるだろう。また、まだまだPCが必要なケースもビジネスの場では多い。今回紹介したモバイル可能なPCは、どちらもスマートフォン全盛の今だからこそ開発できた新世代PCと言えるかもしれない。PCの進化は止まってはおらず、PCメーカーの新しいアイディアがまだまだこれからも生まれてくることを期待したい。

Cellebrite UFED Touch2 スマートフォン代わりにも使える、新世代PCと言えるだろう
Cellebrite UFED Touch2 スマートフォン代わりにも使える、新世代PCと言えるだろう

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