新製品はApple Watchそっくり。シャオミが目指すウェアラブルのビジネス|山根康宏のワールドモバイルレポート

新製品はApple Watchそっくり。シャオミが目指すウェアラブルのビジネス|山根康宏のワールドモバイルレポート

スマートウォッチ・ウェアラブルデバイス市場はここのところ大きな話題に欠けている。最近の大きな話題は2017年第1四半期にアップルがシェアで首位を奪回したという。だがApple Watchの販売数はiPhoneユーザーの関心に大きく左右されており、ここで数が増えたからと言って市場全体が再び盛り上がりを見せているとはいいがたい。

Apple Watchは登場後から売れまくり、スマートウォッチ全体でシェア1位になるなど大きな話題を振りまいた。しかしその後は他社からも優れた製品が次々と登場し、市場の伸び悩みもあり他社にシェアで抜かれていく。Strategy Analyticsの調査によれば、2016年第1四半期のウェアラブルデバイスのシェアは1位がFitbit、2位がシャオミ、3位がアップルだった。それぞれのシェアは24.7%、20.9%、12.1%。

ファッショナブルかつ機能性に優れた製品を次々に送り出すFitbitがシェア1であるのはうなずけるが、2位のシャオミは低価格モデルを出しているだけだ。それでも中国市場を中心に売れまくった結果、シェア2位の座を確保したのである。

Apple Watchがシェア1位になったのはこのStrategy Analyticsの調査によるもの。2017年第1四半期は1位がアップルの15.9%、2位がシャオミで15.5%、3位がFitbitの13.2%。アップルとしては販売台数を前年同期比で6割増やしたことで1位返り咲いたものの、2位シャオミとの差はわずかしかない。

そのシャオミはウェアラブルでシェア1位を目指そうと、着々と製品ラインナップを増やしている。しかもスマートフォンで存在感を一気に表したように、中国市場向けの製品でボリュームを出し、そこから海外への拡大を狙っているのだ。

シャオミのウェアラブルデバイスの現行主力モデルは「Mi Band2」。リストバンド型で運動量や心拍数を計測できる。ディスプレイは小さく歩数など簡単な表示しかできないが、スマートフォン側の着信などはバイブレーションで通知することが可能だ。またIP67の防水防塵対応なので水回りの作業の時もはずす必要は無い。

低価格ながら十分な機能をそなえるMi Band2
低価格ながら十分な機能をそなえるMi Band2

この程度の製品であれば他のメーカーからも多数のデバイスが販売されている。しかしMi Band2の強みはその価格なのだ。中国では149元、約2400円で販売されているのである。これくらいの価格であればお試しで買ってみようと思えるだろうし、仮に壊れたり使わなくなっても気にならないだろう。1万円、あるいは数万円もするウェアラブルデバイスを買う時は事前に性能を調べるだろうが、Mi Band2ならたまたまお店でみかけたときに、なにかのついでに買ってしまう消費者も多い。

シャオミは直営店でもこのMi Band2を目立つ位置に展示するなどして、スマートフォンとのセット買いを勧めている。ウェアラブルデバイスに興味の無い人でも、ついつい買ってしまうというわけだ。

シャオミはこれだけではなく、他にも複数のウェアラブルデバイスを販売している。たとえば子供向けの腕時計型デバイスは、GSMの通信モジュールを内蔵しSIMカードを入れることで通話も可能だ。2代目の製品は1.44インチのディスプレイを搭載しアイコン操作で指定先の通話も簡単に行える。授業中は緊急通話以外の操作をロックする機能も備えている。価格は199元、約3200円と安い。

子供用の腕時計デバイスはGSMを内蔵して3000円ちょっとで買える
子供用の腕時計デバイスはGSMを内蔵して3000円ちょっとで買える

中国では子供の誘拐などに備えてか、ここ数年で子供向けの腕時計型デバイスが数多く登場している。一昔前の製品は品質も悪く簡単に破損してしまったり、雨や汗などの水分ですぐに故障してしまうなど信頼性に欠ける製品が多かった。だがここ1-2年の間に出てきた製品は作りもよく、子供が毎日利用しても壊れにくいものが増えている。

人口約13億人の中国では、小学生(6歳から12歳)の年代の子供だけの数だけでも約1億人となる。そのうちの10%が腕時計型デバイスをはめれば、販売台数は1000万台にもなる。Apple Watchの2017年第1四半期の販売台数は約350万台。シャオミの子供向けデバイスだけでも100万台売れば、Mi Band2と合わせてApple Watchを抜く可能性も十分あるだろう。

とはいえリストバンドと子供向け腕時計では購入者層は限られている。そこで次に投入されるのがスマートウォッチ型の製品「Hey S3」である。四角いディスプレイの外観はApple Watchに似ている。しかし機能としてはアクティビティートラッカーがメインであり、Apple Watchのようにアプリを入れるなど高度なことはできない。

Apple Watchに似たHey S3
Apple Watchに似たHey S3

だが今やスマートウォッチでアプリを活用するユーザーは限られた数だろう。スマートウォッチが高機能化すればスマートフォンを見る機会が減るとも言われたが、現実的にはスマートウォッチの狭い画面でできることはかなり限られている。スマートウォッチはスマートフォンのコンパニオンであり、それが主力デバイスになるとは考えにくい。

シャオミのHey S3もスマートフォンとの連携は、通知を受けるだけと割り切っている。その代り活動量系の機能を充実し、日々の運動量をスマートフォン側で詳細に管理することができる。そして価格は539元、約8700円だ。これくらいの値段を出せば同等機能の他社品を買うことも出来るだろう。だがHey S3は高価格なApple Watchに似た外観にすることで「あのスマートウォッチのような製品が格安で買える」という印象を植え付けることを狙っていると考えられる。

シャオミは初代モデルも好調な販売だったMi Bandシリーズの最新モデルも計画中と言われている。リーク情報ではより高級感あるブレスレットのようか形をすると言われているが、コストを考えると従来品の延長の製品となるだろう。性能を上げつつ5000円以下の低価格で発売すれば、こちらもヒット商品になることは間違いない。

シャオミとしてはウェアラブル製品を購入してもらうことで、自社スマートフォンの販売増にも結び付けたいところだろう。だがウェアラブル製品が一定数売れれば、それを利用するユーザーのデータを活用した新たなビジネスを展開するチャンスも生まれる。シャオミにとってウェアラブルデバイスへの注力は、ハードウェア頼りの今のビジネスモデルからの脱却を目指すものなのかもしれない。

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