自動走行バスは地方で必要とされるはず|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

自動走行バスは地方で必要とされるはず|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

先日、一般社団法人ブロードバンド推進協議会主催の自動運転に関する研究会が開催され、ここで登壇されたSBドライブ代表取締役社長兼CEO・佐治友基氏の講演を拝聴したのですが、自動運転をめぐる未来の展望やそこに拡がるビジネスチャンスについて、大いに考えさせられる機会となりました。

SBドライブ代表取締役社長・佐治友基氏の講演を拝聴しました
SBドライブ代表取締役社長・佐治友基氏の講演を拝聴しました

SBドライブは、ソフトバンクグループで自動運転に関わる技術の開発や運営を行う会社です。現在、国内各地で展開されている自動走行バスの実証事業等に多数関わっています。

自動運転といえば、筆者も昨年1月にテスラ モデルSを試乗し、画期的な自動運転機能を記事にしたことがあります。(https://www.rbbtoday.com/article/2016/02/03/139334.html

私自身、わりとクルマフリークですので自家用車への自動運転機能の搭載は大いに期待していたところです。ところが、SBドライブが重視しているのは「バスの自動走行」。なぜバス? というところから、思いのほか興味深い示唆をいただけました。

佐治社長のご講演に中で、わが国における車両保有台数はおよそ8,100万台。このうち、99.6%を占める8,065万台が自家用車、貨物車等になります。
一方で公共交通を支えるバスとタクシーはわずか0.4%、35万台に過ぎません。公共交通35万台の中でのシェアを見ると、タクシーが69%を占める24万台、乗合バスが6万台(17%)、貸切バスが5万台(14%)でした。SBドライブがバスに目を付けているのは、まずこのボリュームが小さいからこそ、早期に自動化が実現するだろうという見通しからなのだとか。

また、自動車の稼働率を考えても、自家用車と公共交通とでは、公共交通の重みを感じるはずです。圧倒的な台数を占める自家用車はじつはほとんどは稼働せずに駐車されている状態にあるといえます。実際に通勤に使ったとしても、24時間に占める走行時間はわずかかもしれません。それ以外は駐車場に停めているはずです。
一方で稼働率を徹底的に高めて活用されているのが営業車、とくに公共交通といえます。バスは台数としては少ないのですが、輸送人員の内訳で見ると、総輸送人員61億人のうち、乗合バスが62%の42億人と、交通分担率では大きなシェアを占めています。だからこそ佐治氏は、乗合バスの自動運転化の意義は大きいと説明されていました。なるほど。

公共交通のポテンシャル
公共交通のポテンシャル

そもそも自動運転が当たり前になる時代には、自動車への価値観というのはもしかしたら大きく変わってしまうのかもしれません。自家用車に求められていることは、あくまで移動のための手段というのが第一の目的でしょう。
筆者の場合、ドライブを楽しむことにも大いなる意義を感じていますが、多くの自家用車の所有者は、移動手段としての活用が大半なのかもしれません。となれば、自動運転が当たり前の時代になって、これまで以上に公共交通が充実することで、自家用車を所有する意義さえ薄らいでしまうかもしれません。

一方で、バスやタクシーの自動運転化による需要の増大は大いに見込めるかもしれません。たとえばタクシーの場合、タクシー料金の7割近くが人件費であるという話も耳にしました。ということは、タクシードライバー不要の自動走行タクシーとかになればかなり料金の引き下げにも期待が持てるわけです。
また、赤字のために廃止になってしまったようなバス路線も、今後復活に期待が持てるのかもしれません。とくに地方における公共交通機関は地域における交通弱者の生活を支える重要なものであるにもかかわらず、止むを得ず路線を廃止にしてしまったようなところは多いはず。そうしたところで自動走行バスによって人の行き来を再開させることで、地方の経済が少しでも上向きになることを期待したいものです。

SBドライブが平成28年度スマートモビリティシステム研究開発・実証事業の一環で作成したという自動走行バスのイメージVTRがYouTubeのアップロードされています。山間部の赤字路線バスが一度廃止になったものの、自動走行バスで再び営業路線が復活したというストーリーなのですが、そういう背景を知ってVTRを観ると、なぜだかジーンときてしまいます。

SBドライブ「バスがまた、通るようになったから」

自動走行に関わる技術はすでにかなり確立されている中で、このVTRを観るとすでに自動走行に関わるサービス開発よりも、その周辺のサービス分野、たとえば自動走行バスを運行管理しオペレーションするソリューションなどの構築であるとか、こうした分野に今後のICT産業の活路も見えてきますね。

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