「スマホ10万円」は今後も続く?通信費4割値下げでスマホの値段はどうなる| 山根康宏のワールドモバイルレポート

「スマホ10万円」は今後も続く?通信費4割値下げでスマホの値段はどうなる| 山根康宏のワールドモバイルレポート

スマートフォンの価格はここ数年上がり傾向だ。2018年9月に発表された新型iPhoneはついに10万円を超える価格が当たり前となり、最上位モデルは税込で18万円近くとなった。ノートパソコンが10万円を切る値段で買えるなか、この価格は冷静に考えるとかなり高価であると感じられる。もちろんそれだけの性能や質感を有していることから価格相応の製品に仕上がっているとみることはできる。

2017年9月に登場した「iPhone X」は従来のiPhoneのデザインを脱するなど意欲的なモデルだった。しかし10万円を超える価格は購入者を悩ませるものになった。しかし1年後に登場した「iPhone XS」シリーズは10万円越えが当たり前でも疑問の声はわかず、むしろより低価格なモデル「iPhone XR」が安い、と感じられるくらいだ。iPhone XRの最低モデルは税抜き8万4800円。一昔前なら各社の最上位モデルの価格がこれくらいだった。

iPhone XSシリーズの価格に誰も驚きもしなくなった
iPhone XSシリーズの価格に誰も驚きもしなくなった

しかし今や10万円を超えるスマートフォンはiPhoneだけではない。グーグルの「Pixel 3」は64GBモデルで9万5000円(税別)、128GBモデルは10万7000円だ。大画面の「Pixel 3 XL」となるとそれぞれ11万9000円(同)、13万1000円(同)となる。Pixel 3シリーズはハイスペックなCPUを搭載しているものの、メモリ容量は4GB、本体の仕上げもiPhoneよりカジュアルなイメージだ。iPhoneが10万円を超えていることからライバルモデルとして強気の価格設定を行ったように思えなくもない。

10万円超えとなったグーグルのPixel 3シリーズ
10万円超えとなったグーグルのPixel 3シリーズ

一方海外で登場する新製品も1000ドル、1000ユーロを超える値付けが普通にみられるようになった。ファーウェイの新型スマートフォン「Mate 20 Pro」は1049ユーロ(約13万3800円)で、シリーズ初の1000ユーロ超えとなった。なお同時に発表されたポルシェデザインとのコラボレーションモデル、「Mate 20 RS」はストレージ256GBモデルが1695ユーロ、512GBモデルはついに2000ユーロを超え2095ユーロとなった。

昨年Mate 10と同時に発表されたポルシェデザインモデルの「Mate RS」は1695ユーロの1製品だけだったが、これは1000ユーロを超すことに若干のためらいがあったからと考えられる。それに対してMate 20 RSは、Mate 20 Proが1000ユーロを超えたことから堂々と2000ユーロを超える価格づけができたのだろう。

ついに2000ユーロ超えのスマートフォンが登場、ファーウェイMate 20 RS
ついに2000ユーロ超えのスマートフォンが登場、ファーウェイMate 20 RS

そしてこれだけではない。日本参入を2018年に果たした中国のOPPOは、カメラが電動式でせりあがる「FIND X」を限定数日本に投入するが、価格はアマゾンで11万9730円だ。もっともこれはOPPOが日本で話題を作りブランド力を高めるためにあえてこの価格設定にしたのだろう。とはいえ他社から10万円超えの製品が出ていなければ、OPPOとしても9万9800円など、多少弱気の価格設定にしたに違いない。

さてスマートフォンの価格が10万円超えも珍しくなくなったことから、今後価格はさらに上がるのだろうか?いずれは15万円が当たり前、なんて時代になってしまえばスマートフォンの買い替えもおいそれとは行かなくなる。しかしどうやらスマートフォンの価格はおそらく今が高止まり、これ以上高くなる方向にはいきそうもない。

まずハイエンドスマートフォンの中でも新興メーカーが低価格品を強化しており、新興国ではこれらの製品が愛用されるようになるだろう。ブランド力は低いものの、スマートフォンに実用性を求める、すなわち日用品として考えるのであれば、むしろ「安くて高性能」な製品は受け入れられる。この手の製品としては中国のシャオミが有名だが、同社は「格安メーカー」というイメージが広まってしまっている。そこで新たに「Pocophone」という、シャオミの名前を連想できないような新しいブランドを立ち上げ高性能スマートフォンを送り出している。

超ハイスペックで”格安”なシャオミのPocophone
超ハイスペックで”格安”なシャオミのPocophone

Pocophoneは高性能CPU、Snapdragon 845を搭載しながら5万円を切る価格で販売されている。品質はまだ大手メーカーのほうが上だろうが、10万円超えのスマートフォンを3年使い続けるのと、Pocophoneを1年おきに買い替えるのであれば、後者のほうが常に最新モデルを使うことができる。おそらく新興国ではPocophoneの販売数はこれから増えていくだろう。

一方、先進国ではミッド・ハイレンジスペックと呼ばれる、ハイエンドスマートフォンの1つ下にランク付けされる製品も増えている。代表例がモトローラの「moto z3 play」だ。モトローラの2018年秋冬シーズンのハイエンドモデルは「moto z3」だが、これはアメリカでしか販売されていない。代わりにスペックを落としたmoto z3 playが日本を含む各国で販売されている。

moto z3 playはmoto z3のCPUをSnapdragon 636に落としたモデル。メインカメラの1200万画素は変わらず、サブカメラがモノクロセンサーから被写界深度センサーに変わっている。他のスペックはほとんど同じながら、日本での価格は6万1334円(税込)。SNSや検索など、一般的な利用なら十分こなせるスペックだ。もちろんハイエンド端末でなくてはできないこともあるだろうが、この価格のモデルでも困るシーンはほとんどないだろう。

蛇足ながらmoto z3 playは背面にアタッチできる合体モジュール「moto mods」が使える。光学10倍ズームレンズを搭載した本格的なカメラモジュール「Hasselblad True Zoom Camera」が3万1104円(同)なので、合わせて買っても9万円台で収まる。10万円超えのスマートフォンを買うのもいいが、合体モジュールをセットで買うのも楽しいものだ。

合体モジュールも楽しめるモトローラのmoto z3 play
合体モジュールも楽しめるモトローラのmoto z3 play

他のメーカーを見ても、10万円以下の製品を強化しているメーカーは多い。ファーウェイはMate 20を4モデルも発表しいずれも10万円を超えるが、それ以下のモデルとしてサブブランドの「honor」から低価格機が多数ラインナップされている。最上位モデルは最上位モデルの「honor Note 10」は去年のフラッグシップ、Mate 10と同じCPU、Kirin 970を搭載しながら価格は4万円台。Pocophone同様、10万円超えのスマートフォンとそん色ないスペックを誇る。

ここ数年でいきなり世界シェア4位グループに入ってきたOPPOとVivoも、メインラインかつ売れ筋は5万円前後のモデルで、フロントカメラ機能は他社の10万円超えスマートフォンをはるかにしのぐ。そしてその上にFIND Xのような高価格モデルをそろえることで、ブランド力を高めている。

OPPOの売れ筋モデルは5万円程度のミッド・ハイレンジ機だ
OPPOの売れ筋モデルは5万円程度のミッド・ハイレンジ機だ

このように5万円程度の比較的安価なスマートフォンでほぼ一通りのことができるようになれば、多くの消費者はそちらを買うようになっていくだろう。一方、最新の機能やハイスペックな性能を体験したい人、あるいはスマートフォン本体そのものにブランド価値を感じる人は、これからも10万円クラスのスマートフォンを買い続けるだろう。スマートフォンの値段はこれからも右肩上がりに増加するのではなく、そろそろこのあたりで止まる、そう考えるのはそんな理由からだ。

日本では通信キャリアの値引き販売もあり、今はだれもがハイエンドな高価格端末を買っている。しかしいずれ総務省の指導により通信費が本当に4割も下げられれば、端末を割り引く原資も少なくなる。つまり10万円を超えるスマートフォンを「実質半額」といった価格で買うことは難しくなるのだ。そうなれば日本でもお手頃価格のスマートフォンがベストセラーになる時代がやってくるかもしれない。

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