5Gスマホの展示もあった、COMPUTEX TAIPEI 2019で5Gを体験|山根康宏のワールドモバイルレポート

5Gスマホの展示もあった、COMPUTEX TAIPEI 2019で5Gを体験|山根康宏のワールドモバイルレポート

毎年6月頭に台湾・台北で開催されるCOMPUTEX TAIPEIはPCメーカーが新型製品を出すなど、主役はPCの展示会です。また台湾のITメーカーも数多く出展しており、世界に向けて台湾の製品を発信する場にもなっています。スマートフォンの発表が行われることは例年は無く、今年もASUSの新製品「ZenFone 6」はCOMPUTEXの1週間前、5月23日にスペイン・バレンシアで発表されました。

ASUSのZenFone 6。COMPUTEXで展示はあったが発表は1週間前
ASUSのZenFone 6。COMPUTEXで展示はあったが発表は1週間前

ところが今年のCOMPUTEXには会場に「5G」の文字が目立っていたのです。しかも5Gスマートフォンを使った5Gのデモも行われていました。台湾はまだ5G免許が発行されておらず、5Gの開始は2020年の予定と言われています。しかし通信キャリア各社はすでにテスト用のネットワークを台湾各所に設置しており、フィールドテストを行っています。

「5G」の文字が目立ったCOMPUTEX TAIPEI 2019
「5G」の文字が目立ったCOMPUTEX TAIPEI 2019

台湾最大のキャリア、中華電信はエリクソンと協業して台北などで5Gテストを行っています。COMPUTEXでもエリクソンの基地局を設置して、その場で5Gスマートフォンを使った5G接続デモを行っていました。5Gの特徴の1つはギガビットの超高速通信ですが、目の前のアンテナから飛ばした5Gの電波をつかむと、スマートフォンは実際に1Gpbs以上の速度を出しており、5Gの速さを体感できました。

中華電信の5Gデモ。ネットワークはエリクソン
中華電信の5Gデモ。ネットワークはエリクソン

ここで使われていたスマートフォンはシャオミの「Mi MiX 3 5G」。この手のテストはたいていサムスンの5Gモデルが使われるのですが、あえてシャオミでテストしているというところに意味があります。5Gスマートフォンはクアルコムの5Gモデムを大手スマートフォンメーカーがこぞって採用し、すでに市場で数機種が販売されています。そしてその中でもシャオミの製品は700ユーロ程度と他社品より2-3割も安いのです。

テストに使われたシャオミの5G機。ブースでは「メーカーは非公開」との説明だった
テストに使われたシャオミの5G機。ブースでは「メーカーは非公開」との説明だった

5Gだからといって、誰もが高価格な端末を購入するとは限りません。低価格な端末でデモを行うことで、現状の4Gから5Gへの乗り換えの敷居を下げる効果が期待できるのです。実際にブースの説明員は端末がシャオミであることは明言しませんでしたが、「5Gが始まることろには手ごろな価格の端末も出てくるだろう」と話していました。

スマートフォンの発表が無く展示も少ないCOMPUTEXですが、ITメーカーからは5G対応製品が多数展示されていました。それらはスマートフォンではありませんが、4Gスマートフォンで使える5Gのモバイルルーターや、超高速通信を自宅で利用できる5G屋内装置(CPE)がすでに製品化目前となっていたのです。

Gemtekの5G CPE。もう自宅のブロードバンドは工事もいらなくなる
Gemtekの5G CPE。もう自宅のブロードバンドは工事もいらなくなる

CPEは屋内用や屋外用があり、これが5Gの電波を直接受けます。ルーター内蔵、あるいはルーターへ優先で接続し、そこからWi-Fiなどで屋内の他の機器などが接続できるわけです。4Kや8Kのストリーミングビデオ配信が始まれば、CPEで受信した高画質な映像をそのままスマートTVなどに出力できます。
5Gがあればもはやどんな場所でも超高速ブロードバンド通信が利用できるようになるため、5G開始後はCPEの需要が急増する予定です。

5GのCPEを使い、4Kのストリーミングビデオ配信のデモも行われた
5GのCPEを使い、4Kのストリーミングビデオ配信のデモも行われた

日本でも2020年から5Gが本格展開しますが、2年契約でスマートフォンを買っている人もまだまだ多いでしょうから5G端末への買い替えはすぐとはいかないでしょう。また格安SIMのMVNOを使っている人も、MVNOの5G対応はまだ当分先になります。そうなるとこれらの人にとって、5Gのモバイルルーターは高速通信を自分の4Gスマートフォンで体験できる重要な製品となります。

中国ODMメーカー、MEIGの5Gモバイルルーター
中国ODMメーカー、MEIGの5Gモバイルルーター

COMPUTEXには5Gモバイルルーターの展示もいくつかありましたが、いずれもODMメーカーのモノでした。ファーウェイやサムスンなど大手メーカーからも製品が出てくるでしょうが、ODM、すなわち相手先ブランドで製品を開発するメーカーがすでに製品化しているということは、手ごろな価格の製品が様々なメーカーから大量に出てくることが期待できるわけです。

台湾の通信機器メーカーは、Wi-Fi関連では世界でも存在感を示しています。しかしモバイル関連市場では今では中国勢に押されっぱなしの状況です。特に3Gから4Gに移り変わるときに、台湾政府はインテルと運命を共にし「WiMAX」の世界普及を後押しするため国全体をテストベッドとしました。人口約2400万人の台湾に、携帯電話事業者が3社、PHS事業者が1社存在した上に、WiMAX事業者が実に6社もあったというのだから驚きです。

台湾はWiMAXに将来を託した時期があった
台湾はWiMAXに将来を託した時期があった

しかしWiMAXは普及せず、台湾の通信企業のグローバル展開は停滞してしまいました。しかし今年のCOMPUTEXに多数見つけたCPEやルーターからわかるように、5Gではスマートフォン以外の端末で世界へ打って出ようとしています。たとえばAskeyはすでにスイスへ製品を納入、アメリカでも導入される予定とのことです。

AskeyのCPEはすでに海外へ導入されている
AskeyのCPEはすでに海外へ導入されている

スマートフォンの視点から言えば、台湾のASUSやHTCから5Gスマートフォンが早く出てきてほしいところです。しかし両社のスマートフォン事業はやや劣勢に回っているのが実情で、5Gスマートフォンの登場はまだ時間がかかるかもしれません。来年の今頃には5Gスマートフォンの数は10どころか20種類以上になっているでしょうから、5Gサービス開始と同時にいきなり競争が始まる熾烈な市場になりそうです。
他社と差別化できる5G機を開発できるかどうか、両社にとって5Gの開始は正念場にもなるでしょう。

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