アフターコロナもオンライン授業が当たり前の時代へ|上松恵理子のモバイル教育事情

アフターコロナもオンライン授業が当たり前の時代へ|上松恵理子のモバイル教育事情

2020年5月11日、文部科学省はYouTubeのLive配信にて説明会を行い、その中で高谷浩樹 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課長から話があった。説明会の内容は情報環境整備に関するものである。

「新型コロナ肺炎は非常時、それも大震災に匹敵するかそれ以上のことであろう。前代未聞の非常時だと捉えており、そこでオンライン授業を行わない自治体には危機感がない」
と述べている。
「せめて宿題や朝の挨拶など、ネット環境でライブ配信ができるようにしてもらいたい。もしできない自治体があれば電話をしてもらいたい。」
と繰り返す高谷課長の訴えはとても強い言葉だった。

PowerPointの説明会資料でも「えっ、この非常時にさえICTを使わないのなぜ?」とか、「これからはICTを使わなかった自治体に説明責任が出てくる」「紙を配るんではなく、双方向での授業を学校現場に取り組んで頂く必要がある」「やろうとしないということが一番子供に対して罪」とまで言及している。
ネット上では賛否両論があるだろうが、1つの省が発信する非常に強いメッセージだと感じた。文部科学省だけでなく経産省からの発言もあった。

オンライン授業のイメージ

実際、これから新型コロナウイルス感染の第2波が来る可能性もあり、長丁場になってしまう場合は数年単位となるかもしれない。高谷課長の話のように、ICTやオンライン学習は学校教育の学びの一部であったとしても、ある一定の学びの保障となることは筆者も間違いないと同感している。

高谷課長の所には「いや、一律に出来ないから」「いや、ルールにそれ沿ってないから」ということで、否定されるという悲鳴が数限りなく寄せられているという。しかし、それはおかしい話であり、この今の緊急時では、しっかりとICTを使うことが大事だと繰り返し発言していた。

笑えない話として、学校がセキュリティを高めた結果、このYouTube Live配信が学校で視聴できないケースもある。高谷課長は「当然ながらセキュリティを強めれば強めるほどセキュリティは守れるが、本来の目的であったICTを使うということが全然できなくなっている。動画が見れなくなる。いろんなものが活用できなくなる。これは、最終目的ではないはずである。」との見解を示した。

また、モバイル教育のことにも言及している。
「家庭のパソコン、それから、子供本人のパソコンでなくても家族のスマートフォンを使いましょう。携帯各社さんは、25歳以下の利用者に対して優遇措置までとっていただいてます。ある物を使いましょう。」とのこと。

パソコンを使う中学生

筆者も教育学の専門家としては、全ての学習者が等しくリアルに会って対面授業ができればもちろん良いことだと思っている。しかし、スウェーデンの学校を訪問した時、教室に出てこれない児童のために、あるいは授業をもう一度聞きたいという声に応えるためにICTを活用している事例を見た。そういった今の時代に、この新型コロナウイルスの感染が広がっている時代において、対面授業が出来ない地域があるという状況で、ICTという武器があるのに使わないでいるのはいかがなものかと思わざるを得ない。

例えば、先生が1軒1軒、紙で宿題を配って各家庭を訪問するということを行っている学校もあるが、それはいかがなことかと感じている。感染のことを考えると、先生には各家庭を訪問する過程において感染のリスクが発生する。また家庭側も、先生が無症状だとしても、感染しているかわからない状況で追い返すわけにもいかない。
ウイルスは自ら移動することはできない。人が運ぶのだ。

実際にこれまで筆者が訪問した先進国では、宿題は自治体のクラウド、または学校のウェブサイト、あるいは担任のブログやドロップボックスから簡単にダウンロードし、その提出もネット上で行うことが日常的に行われている。1軒1軒印刷した紙を持参し、各家庭を訪問するという行為がおこなわれてしまう背景には、ICT環境がまだ一部の家庭において整備されていないということが原因の1つにあるだろう。

パソコンで学習する中学生
インターネットを使ってプログラミングをしている様子(筆者撮影)

オンライン授業と言っても色々なスタイルがある。ZoomやTeamsを使った朝の会を行う学校。YouTube Liveで配信する学校。オンタイムではなくオンデマンドでいつでも何回でも視聴することができる、授業動画を撮影して配信するだけなど色々である。朝の会からずーっと1日中、オンタイムで授業をしているところもある。
高谷課長も
「毎朝、子どもたちと対面できる、双方向での授業ができる、子供の元気な顔を少しでも見る。こういうことをしっかりと取り組む、学校現場に取り組んでいただく」「保護者や子どもたちに、なぜ使わないのかと言う説明責任が生じる」
と述べている。

海外の先進国では学校や自治体が1人1台のパソコンを配るだけでなく、家庭によってはネット接続料も支払うという所もあり、オンライン授業の普及が広がっていた。学校でICTを日常的に使っているからこそ、こういった緊急時にすぐに切り替えることが可能なのだ。

パソコンで学習する中学生
インターネットを使ってプログラミングをしている様子(筆者撮影)

9月入学にすれば何もしなくて良いのではなく、次の第2波までにいかに児童・生徒が学校でも家でもどうICTを使うか、災害に備える意味合いも含めて、自治体だけでなく学校も家庭もそれぞれ工夫することも必要である。
災害に備える意味合いも含めて、アフターコロナの時代になっても、同じオフラインの授業だけという学校に戻ってしまうことがないように、ICT化を進めていかなければならないことだろう。

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