香港で5Gが開始。約4000円で100GB、中国ローミングも可能|山根康宏のワールドモバイルレポート

香港で5Gが開始。約4000円で100GB、中国ローミングも可能|山根康宏のワールドモバイルレポート

人口約750万人の市場に4つの通信キャリアがサービスを展開する激戦市場の香港で5Gのサービスが出そろった。4月に3社、5月に1社が開始し、各社はほぼ横並びのサービス内容ながらも、香港という特殊な市場を意識した付加サービスを添加している。筆者もさっそく5Gに加入し、高速通信を楽しんでいる。

香港で5Gサービスが開始
香港で5Gサービスが開始

5Gは「高速」「同時多接続」「低遅延」という3つの大きな特性を持つ。しかし5Gのエリアがまだ限られていることや、この特性を生かせるサービスが出そろっていないことから現時点では「高速データ通信サービス」を各社最大の武器としている。
理論上は1Gbpsという光回線に匹敵する速度が利用できるが、香港市内で計測したところ最高速度でも600Mpbs台と、まだ完全なパフォーマンスを提供していないようだ。

中国移動香港で実測。600Mbps前後が今のところ最速だ
中国移動香港で実測。600Mbps前後が今のところ最速だ

スマートフォンはサムスン、ファーウェイ、シャオミ、OPPOがフラッグシップクラスのモデルを展開。香港もiPhoneユーザーが多いため、この秋登場の5G対応iPhoneが出るまで様子見という消費者も多い。各キャリアも5Gを大きくアピールするものの、iPhoneユーザーにはまだ進めにくいという状況なのだ。
アップルの5G iPhoneは例年新製品が出てくる9月からさらに遅れるという噂もあるが、通信キャリアとしては5G利用者獲得の最大の武器となるため早い時期に出してほしいと願っているだろう。

しかし100倍ズームが可能なサムスン「Galaxy S20 Ultra」や1億800万画素カメラを売りにするシャオミ「Mi 10」など魅力的な端末が多い。ただしお隣中国では3万円台の5Gスマートフォンも出てきているが香港にはまだ入ってきておらず、現在は日本同様、ハイエンド・高価なモデルが多い。ファーウェイの「P40」、シャオミのMi 10が安いものの、7万円程度だ。
他には古いアパートで固定回線のネットが遅い家屋向けに5Gの据え置きルーター(CPE)もファーウェイが製品を出している。

5Gスマートフォンはハイエンドモデルが多い。サムスンが売れ筋のようだ
5Gスマートフォンはハイエンドモデルが多い。サムスンが売れ筋のようだ

さて通信料金は100GBプランを各社一押しとしてアピールしている。
5月26日に3社に遅れてサービスインしたSmarToneは100GBプランしかないという、ある意味割り切った料金で勝負に出ている。なお100GBを超えたときは、追加料金で5Gのデータを買うか、5Mbpsで定額利用かを選べる。

中国大陸の中国移動が香港で展開している中国移動香港はこれまで香港では2番手キャリアというイメージだったが、5Gで一気に攻勢に出て他3社にはない魅力的な料金を展開。香港内のサービスエリアも繁華街は5Gが切れないと言えるほど充実している。5Gを機に他のキャリアから乗り換えるユーザーも多そうだ。

では各社の100GBプランと、主な付加サービスを見てみよう。それぞれ2年契約のプロモーション込み。なお音声通話は各社無制限定額だ。

「CSL:398香港ドル(5530円)/月」
・80GB、超過2GB/10香港ドル(140円)。中国マカオ2GB、中国携帯番号

「3HK:388香港ドル(5400円)/月」
・100GB、超過100GB/388香港ドル or 4Gデータ定額/58香港ドル(800円)

「SmarTone:398香港ドル(5530円)/月、当初6か月は298香港ドル(4100円)/月」
・100GB、超過10GB/50香港ドル(140円) or 5Mbps定額80香港ドル(1100円)。中国マカオ2GB、中国携帯番号。未使用分500GB(中国マカオ10GB)まで繰り越し可

「中国移動香港:298香港ドル(4100円)/月」
・100GB、超過5Mbpsで定額 or 5GB/30香港ドル(420円)。中国マカオ6GB。中国韓国5Gローミング対応。

日本のように音声+データ、のような組み合わせではなく、込々プラン(とはいえ音声は定額使い放題なので、音声通話の料金を気にする香港人はそもそもいない)なのでわかりやすいだろう。
100GB(CSLは80GB)を超えてからの超過分が各社の考え方がバラバラで、中国移動香港は速度低下(5Mbps)で使い続けられるのに対し、CSLは追加料金が必要だ。また3HKは4Gで使い放題を800円、SmarToneは1100円で5Mbps使い放題と、それぞれ対応を変えている。このあたりがどのキャリアを選ぶかの選択枝にもなるだろう。

また3HK以外は中国マカオのローミングの無料データ分も付与される。中国移動香港は6GBと多いものの、中国の携帯電話番号は別料金(18香港ドル/月、250円)が必要。CSLとSmarToneは2GBだけだが中国の携帯電話番号が無料でもらえる。香港と中国を行き来することはコロナウィルスの影響がなければ日常的であるし、中国のWEBサービスを使う際に中国の携帯番号が必要なこともあるため、香港人にはありがたいサービスだ。

中国移動香港はその中国と韓国で5Gローミングも始めている。中国では中国移動、韓国ではKTの5Gネットワークをそのまま利用できるのだ。ローミング料金がかかる(中国は6GBまで無料)ものの、他国の高速ネットワークを早くも利用できるのである。香港の市民の生活実態を考えると、中国移動香港のサービスの充実ぶりが際立って見えるようにも思う。

中国移動香港のサービスの充実ぶりが目立つ
中国移動香港のサービスの充実ぶりが目立つ

だが1社だけ5月26日と遅れてサービスインしたSmarToneは、先行3社をよく研究したプランを投入しており筆者も注目している(筆者の香港のメイン回線はこのSmarToneだ)。基本料金は398香港ドルだが、当初6か月は最安値の中国移動香港に合わせて298香港ドルとした。また3社には無い未使用データ分の繰り越しも提供。日本でも翌月に未使用分を繰り越せるが、SmarToneは翌々月以降にも持ち越しができるのだ。

持ち越し可能なデータは500GBまで。しかも中国マカオの2GBのローミングデータも、10GBまで繰り越しできる。年に3-4回香港出張する人が契約すれば、香港に来るたびに毎月200-300GBが使えるというわけ。実はSmarTone以外の各社は100GB以外のプランもあるが、SmarToneは100GBプラン1本だけなのだ。プランを1つにする代わりに、使わないデータを持ち越せることで上のプランに入らなくてもいいという考えは後発だからできたのだろう。

500GBまでデータ繰り越しできるSmarTone
500GBまでデータ繰り越しできるSmarTone

このように料金は各社様々な香港だが、利用できるエリアはどうだろうか。香港で最もネットワーク品質が優れているのはCSLだが、5Gでは中国移動香港の充実ぶりがめだつ。香港の繁華街はほぼすべてのエリアが5Gでカバーされているのだ。またエリクソンのネットワークを導入したSmarToneは、DSS(Dynamic Spectrum Sharing)を採用し、4Gと同じ周波数帯を5Gでも利用。そのためエリアも人口カバー率で7割と広い。なおDSSのエリアは通信速度がある程度低くなるものの4Gよりは高速だ。

エリクソンと組みDSSを導入したSmarTone
エリクソンと組みDSSを導入したSmarTone

日本ではまだ5Gが使える場所がスポットしかなく、5Gスマートフォンを買っても歩きながら5Gの高速回線を利用することは難しい。香港は都市国家というエリアの狭さを生かし、5Gのインフラ整備は急速に進められているのだ。
日本のキャリアもぜひ香港での5Gローミングサービスを提供し、新型コロナウィルスが落ち着いたころには日本からの来航者が充実した香港の5Gネットワークを使えるようにしてほしいものだ。

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