スマホの充電が15分で終わる、100Wを超える急速充電スマホが次々登場|山根康宏のワールドモバイルレポート

スマホの充電が15分で終わる、100Wを超える急速充電スマホが次々登場|山根康宏のワールドモバイルレポート

生活必需品となったスマートフォンを毎日使う上で気を付けなくてはならないのは、バッテリー切れになることだ。
ここ1~2年の間に発売されたスマートフォンは、一般的な使い方なら1度の充電で1日程度使うことはできる。しかし最近流行りのビデオ会議に長時間参加したり、YouTubeなどストリーミングサービスを使うとバッテリーはどんどん減ってしまう。動画を見ながら寝てしまい、朝になったらスマートフォンのバッテリーが切れていたなんて経験をしたことがある人もいるだろう。

最近ではスマートフォンも急速充電に対応しており、数時間でバッテリーを満充電できる製品が増えている。たとえばiPhone 11 Pro Maxには18Wの急速充電に対応し、3969mAhのバッテリーを2時間程度で満充電可能だ。さらにこの夏発売されたばかりのサムスンのGalaxy Note20 Ultraは25Wの急速充電気が付属し、4500mAhのバッテリーを1時間で満充電ができるという。

1時間でフル充電できるサムスンのGalaxy Note20 Ultra
1時間でフル充電できるサムスンのGalaxy Note20 Ultra

ところが中国メーカーから相次いでiPhoneの5倍以上、Galaxy Note20 Ultraの4倍以上という、100Wを超える急速充電に対応したスマートフォンが発売になっている。

シャオミが8月11日に発表した「MI 10 Ultra」(中国での名称は「小米10至尊記念版」)は120Wの急速充電に対応。4500mAhのバッテリーを23分で満充電できるという。これなら朝起きてバッテリーが空になっていても、外出準備をしている間に充電が完了している計算になる。外出中でもカフェで一服している間に充電が終わる。
自分の行動先に電源があることがわかっていれば、重いモバイルバッテリーの代わりに充電器を持ち歩けば済むようになるのだ。

125W急速充電に対応するXi 10 Ultra
125W急速充電に対応するXi 10 Ultra

Vivoが8月17日に発表した「iQoo 5 Pro」も同じく120Wの急速充電に対応する。バッテリー容量は若干小さく4000mAhだが、満充電までの時間はわずか15分。ここまで高速だと充電していることを忘れてしまうかもしれない。
「気が付けば常にフル充電されている」のがiQoo 5の大きな魅力だ。

OPPOはこの両者に先駆け、125Wの急速充電方式「OPPO 125W flash charge」を発表している。OPPOの方式では4000mAhのバッテリーを20分で満充電できるという。

このように各社の急速充電技術は「スマホの充電30分以内」を当たり前のものにしようとしているのだ。なおOPPOの説明によると、この超急速充電技術はバッテリーを2分割し並行して充電を行うだけではなく、温度センサーを設置してバッテリーの過熱を防ぐことで発火などのトラブルを未然に防ぐ安全策がとられているという。

OPPOの125W急速充電は、並行充電に加え万全の安全策がとられている
OPPOの125W急速充電は、並行充電に加え万全の安全策がとられている

他にも発想の転換で急速充電を実現したスマートフォンもある。
レノボが7月24日に発表したゲーミングスマートフォン「Legion Duel」(中国では「Legio Pro」)は2分割された5000mAhのバッテリーを内蔵している。本体には底部と側面にUSB端子を備え、2本の充電ケーブルを接続し90Wの急速充電を使い30分で満充電が可能だ。

本体側面にもUSB端子を備えるモデルはASUSがゲーミングスマートフォン「ROG Phone」シリーズを2018年から発売しており、外付け式の空冷ファンや本体を2画面化するアダプタを取り付けることができたり、充電ケーブルを刺したままでもゲームプレイの邪魔にはならないというメリットがある。Legion Duelはそのデザインを倣うだけではなく、さらに2本の充電ケーブルを同時に接続するという全く新しいアイディアを製品化してしまったのだ。

このように急速充電方式が普及すると、モバイルバッテリーを使う必要が低減する。モバイルバッテリーは便利な存在だが、リサイクルを行う社会的な仕組みは出来上がっていない。
やや古いデータだが、Newzooの調査によると2018年末の全世界のスマートフォン利用者は33億人に達しているという。仮にそのうちの100人に1人がモバイルバッテリーを使っているとすると、その数は3300万台。モバイルバッテリーの寿命は長くても2年程度だろうから、年間その半分のモバイルバッテリーが破棄されている計算になる。

先進国ではごみの分別化が進み、モバイルバッテリーもしっかりと回収されている国もある。しかし新興国などではモバイルバッテリーは一般ゴミとして出されるだけではなく、路上や海中などに破棄されるケースもある。さらにモバイルバッテリーの中には粗悪な製品もあり、内部の化学物質が破棄されたのちすぐさま漏洩してしまうものも多い。スマートフォンの普及は間接的に環境破壊を引き起こしてしまうかもしれないのだ。

OPPOが中国で販売しているガンダムコラボのモバイルバッテリー。このようにきちんとしたメーカーの作った製品ばかりならいいのだが、現実はそうでもない
OPPOが中国で販売しているガンダムコラボのモバイルバッテリー。このようにきちんとしたメーカーの作った製品ばかりならいいのだが、現実はそうでもない

OPPOはワイヤレス充電でも65W、30分で満充電可能な技術を同時に発表している。この技術が一般的なものになり、カフェや銀行などにワイヤレス充電台が設置されるようになれば、もはや自分で急速充電気を持ち運ぶ必要もなくなり、お店などに立ち寄ったときに自分のスマートフォンを手軽に充電できるようになる。たとえ数分しか時間がなくとも、バッテリー残量を10から20%程度増やすことができる。急速充電技術は単純に「短時間で充電できる」だけではなく、モバイルバッテリーを不要とする地球の環境に優しい技術とも言えるだろう。

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