ペン付きスマホや5Gスマホも出すモトローラの現状はどうなっている?|山根康宏のワールドモバイルレポート

ペン付きスマホや5Gスマホも出すモトローラの現状はどうなっている?|山根康宏のワールドモバイルレポート

モトローラは日本市場向けにスタイラスペン収納式で手書き入力もできる「moto g PRO」を発売する。また、ディスプレイが曲がる折りたたみスマートフォンの5Gモデル「moto razr 5G」の日本投入も近いといわれている。
携帯電話の黎明期には高いシェアを誇っていたモトローラはスマートフォンへの転換が遅れ、グーグルへの買収を経て今ではレノボ傘下でビジネスを展開している。

ペン付きスマートフォン「moto g PRO」
ペン付きスマートフォン「moto g PRO」

世界のスマートフォン出荷台数のシェア上位はここ数年顔ぶれが変わっていない。1位サムスン、2位ファーウェイ、3位アップル。以下、シャオミ、OPPO、Vivoがほぼ横並びだ。そしてこの上位6社以下のメーカーは「その他」でひとくくりにされてしまっている。

調査会社カウンターポイントのデータを見ると、2020年第2四半期、6社の次につけているのはレノボだった。シェアは3%と低く、恐らくLGなど他社と7位の座を争っている状況だろう。しかししっかりと10位以内にランク入りしているのだ。そしてこのレノボの中にはモトローラのスマートフォンも含まれている。

モトローラの親会社となったレノボもスマートフォン事業を展開しているが、その数はわずかだ。中国では2019年に4機種、2020年は1機種しか製品を出していない。一方モトローラはこの2年間で30機種以上の製品を出している。つまりレノボの世界シェアはそのままモトローラの世界シェアと言えるのである。

スマートフォン出荷台数推移(カウンターポイント)
スマートフォン出荷台数推移(カウンターポイント)

モトローラと言えば背面にスピーカーやプリンターなど様々なアタッチメント「moto mods」を取り付けられる、「moto z」をフラッグシップモデルとし、格安な「moto e」、ミドルレンジの「moto g」などを展開してきた。しかしmoto zはアタッチメントの互換性の問題や、他社との競争激化で2019年前半で終了。それ以降はミドルレンジ、エントリーという数の稼げるモデルを中心に展開を進めていった。日本でもここ2年は「moto g」シリーズばかりが投入されていた。

飛び道具であるmoto zをやめて、あまり目立たなくとも確実に売れる価格帯の製品を増やしていった結果、北米ではシェア7.9%、南米ではシェア2位、ヨーロッパでは前年比で35%増のセールスを記録(いずれもモトローラ発表)。着々と販売数を増やしているのだ。上位6社のように派手なプロモーション活動はしていないものの、老舗ブランドの知名度はまだ健在であり、あらゆる年齢層にモトローラの製品は受け入れられている。

また顔となる製品はmoto zに変えてディスプレイが折りたためる「moto razr」を2019年末に投入。2020年には5G版となる「moto razr 5G」も発売した。曲がるディスプレイはまだ耐久性が低く、moto razrも発売直後から画面破損などの報告が相次いだ。しかし約15万円の高価なモデルを好んで買うユーザーは耐久性が弱いなりに気を使いながら使用し、むしろ畳んだ姿も美しい製品そのものを楽しんでいることだろう。ハードウェアは日本向けモデルもあるようで、日本での発売が待ち遠しいところだ。

折りたたみスマートフォン「moto razr」
折りたたみスマートフォン「moto razr」

5Gモデルは他にも「Edge」「Edge+」「moto G 5G」「moto G 5G Plus」「One 5G UW」をアメリカやヨーロッパに投入。5Gスマートフォンの数も増やしており、各国の5Gキャリアへの売り込みを図っている。いずれ日本にもどれかのモデルが投入される日が来るだろう。

一方、moto g PROはペンの使える手ごろ価格のスマートフォンとして投入される。画面サイズが大きいことからペンによる手書きも書きやすく、メモ帳のように使うこともできる。文字入力が面倒と考える年配者などにも向けたい製品だろう。もちろんビジネス用途にも使うことができそうだ。

このようにモトローラは大手メーカーとの直接的な競争を避け、ブランド力と値ごろ感ある価格で製品を次々と投入し、常に一定数の数の出荷を続けてきた。カウンターポイントのデータでは2018年第1四半期以降、シェアは2%から3%で変わってはいない。しかしこの間、世界のスマートフォン出荷台数は増えていることから、モトローラの出荷台数も増加しているということになる。新型コロナウィルスの影響を受けた2020年に入ってもシェア2%を維持しているということは、一定のファンをつかみ安定した販売を行っているからだろう。

今後モトローラのシェアが大きく上がる可能性はあるだろうか?あくまでも推測だが、アメリカ政府からの制裁を受けたファーウェイのスマートフォン出荷台数が今後急減した場合、ファーウェイの強い新興国でモトローラの低価格モデルに人気が集まるかもしれない。シャオミなども数多くの製品を出しているが、ブランド力ではモトローラに劣る。低価格モデルをうまく売っていけば、ファーウェイの潜在ユーザーをいくらか奪える可能性は十分ありそうだ。

格安スマホの「moto e7 Plus」。インドでは9499ルピー(約1万3000円)
格安スマホの「moto e7 Plus」。インドでは9499ルピー(約1万3000円)

そして先進国には値ごろ感のある5Gスマートフォンを出すことで、今以上の存在感を高めていくだろう。5Gはまだ始まったばかりで、どのメーカーも横並びという状況だ。iPhone 12が全機種5G対応になったことで、5Gに興味を持つ消費者の数も増えていくだろう。モトローラの5Gスマートフォンがどの国でもメジャーな製品になる、そんな日が来年にはやってくるかもしれない。

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