手首に貼り付けるスマートウォッチが誕生?曲がるカラー電子ペーパーが登場|山根康宏のワールドモバイルレポート

手首に貼り付けるスマートウォッチが誕生?曲がるカラー電子ペーパーが登場|山根康宏のワールドモバイルレポート

Apple Watchに代表されるスマートウォッチや、シャオミのMiスマートバンドのようなリストバンド型のデバイスは運動データの取得やスマートフォンの通知受信ができる便利なデバイスだ。腕時計と変わらぬ大きさならば日常的に腕にはめていても気にならない大きさだろう。だが2021年はさらに薄く、腕に張り付くようなスマートウォッチが出てくるかもしれない。

電子ペーパーのリーディングカンパニーであるE Inkと、フレキシブルディスプレイ開発のPlastic Logicは柔軟に折り曲げることのできるカラー電子ペーパーディスプレイLegio」を開発した。
Legioのサイズは2.1インチ。解像度は240x146ピクセルだ。Apple Watchのディスプレイサイズは最新モデルで1.78インチなので、それよりも大きい(ただしApple Watchは解像度は高い)。そして柔軟に曲げることができるため、手首にフィットするような形状にもできるのだ。

世界初のフレキシブルカラー電子ペーパー「Legio」
世界初のフレキシブルカラー電子ペーパー「Legio」

電子ペーパーは液晶や有機ELと異なり、ディスプレイは発色せずに太陽光などの光が当たることで表示を見ることができる。ペーパー=紙=印刷物と同じなのである。そのため消費電力が少ないことが最大の特徴だ。また電源を切っても表示をそのままの状態にしておくことができるため、電源OFFにしたままQRコードを表示しっぱなしにする、ということもできる。

Legioは赤、青、緑、黄、白、黒の6色が表示できるカラー電子ペーパーの技術「Advanced Color ePaper(ACeP)」を採用しており、これらの色の組み合わせでフルカラーの表示も可能だ。鮮明な写真のような表示には向いていないだろうが、2.1インチの小さいサイズに地図やイラストを表示するなら十分使いものになるだろう。

Legioのターゲットはウェアラブルデバイスだ。ウェアラブルデバイスはスマートフォンの通知を受けたりモバイルペイメントに使うという使い方もあるが、使用者の歩数や運動量、睡眠状態などのヘルス関連データを取得するデバイスとしても使われる。すでに一部の国ではウェアラブルデバイスメーカーやサービス企業と医療機関や保険サービスとの提携も始まっている。

デバイス利用者が転倒するなど異常な動きを検知すると医療機関に自動でアラームが通知されたり、健康データを送り続ける利用者には保険料を割引する、という例もある。ウェアラブルデバイスは人類が健康的な生活を送る上で、いずれ必須のデバイスとなるのだ。

しかし現状のスマートウォッチやリストバンド型デバイスはどちらも一長一短がある。スマートウォッチは高性能になるほど電池の持ちが悪く、電池の持ちの良い製品は機能が低いためリストバンド型デバイスとできることはあまり変わらない。一方リストバンド型デバイスは表示領域が狭く、本体も小型ながら厚みがある。

しかしLegioを使えば手首に張り付くような薄さのスマートウォッチも作れるだろう。本体の厚みは1ミリの半分以下、460マイクロミリ。重量はわずか2.2グラムだ。電池の持ちもいいからスマートウォッチの充電池も小さくできる。もちろんカラー表示もでき、サイズも大きいから運動量のグラフを表示したり、フィットネストレーナーによる運動指導をアニメーションで表示する、なんてこともできるだろう。
ちなみにディスプレイのフレームレートは15fpsとのこと。

1ミリの半分の薄さ、2.2グラムと軽量。そしてカラー表示もでき曲げられる
1ミリの半分の薄さ、2.2グラムと軽量。そしてカラー表示もでき曲げられる

Legioなら衣服に貼り付ける、あるいは長袖の手首付近に透明窓の付いたポケットを作り、そこにLegioを装着する、といった衣料への装着もできるだろう。洗濯など手入れのことを考えると縫い付け方式ではなくポケットやマジックテープなどで貼り付ける方式が実用的だろうか。他にも小型のIoT機器への応用など、様々な用途展開が考えられそうだ。

なお2021年1月にはLegioの開発キットも99ドルで発売される予定だ。小型のマイコン「Arduino」と互換があるため、Arduinoで開発したIoT機器の表示デバイスとしてLegioをすぐに使うことができる。学生たちによるLeigoを応用したアイディア製品が開発されることも期待できるわけだ。

Arduino互換のLegioの開発キット
Arduino互換のLegioの開発キット

カラーの電子ペーパーは2020年1月にハイセンスがスマートフォンへの応用を発表し、現在5.84インチサイズのものが商用化されている。しかしカラー電子ペーパーは前述したように高精細な写真の表示には向かず、これくらいの大きさとなると絵本や文字に色をつけるといった用途程度となり、スマートフォンの液晶や有機ELディスプレイを代替する存在にはならない。

しかしウェアラブルデバイスや小型のIoT機器ならば、モノクロ以上に表現力のあるカラー表示ができるだけでも十分実用的だ。カラー電子ペーパーはもしかすると小さいディスプレイに向いたディスプレイ素材と言えるのかもしれない。

スマートフォンサイズのカラー電子ペーパーは、液晶や有機ELより表現力が劣ることが目立ってしまう
スマートフォンサイズのカラー電子ペーパーは、液晶や有機ELより表現力が劣ることが目立ってしまう

スマートウォッチは腕時計から針を無くし、通知を受けたりアプリを使えるようにした。しかしその大きさは腕時計時代から変わっていない。Legioの登場はスマートウォッチをフィルムのように薄いものにしてしまうのだ。そんな薄いフィルム型スマートウォッチが出てきたら、ブラウン管TVから液晶TVへ進化した時のような衝撃を受けるかもしれない。
Legioを使ったどのようなウェアラブルデバイスが出てくるか楽しみにしたい。

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