5G時代のスマホ料金は「ギガ」から「テラ」へ|山根康宏のワールドモバイルレポート

5G時代のスマホ料金は「ギガ」から「テラ」へ|山根康宏のワールドモバイルレポート

日本では3月開始の新しいスマートフォン料金プランに注目が集まっている。オンライン契約に特化するなどコストを徹底的に省くことで、約3000円の基本料金で20GBが使えるというものだ。
このプランが驚きなのは、それまで「低料金」と言えば格安SIMと呼ばれるMVNOキャリアのプランを指したが、ドコモなど大手キャリアが従来の半額程度の料金を出してきたことにある。またそれだけではなく、スマートフォンの料金プランに「20GB」という容量が出てきたことも時代の移り変わりを感じさせる。

MVNOキャリアは「3GB」「5GB」といった料金で安さを競い合っていたが、2021年3月以降はそれの数倍もある「20GB」が中心的なプランとなるだろう。MVNOキャリアが5GBで1000円のプランを出したとしても、3倍の料金を出せば4倍もある20GBを大手キャリアの通信制限の無い回線で使うことができるのだ。MVNO各社は抜本的な競争方法の見直しを強いられるだろう。

大手キャリアが格安プランを始め、MVNOキャリアは戦略見直しが必要(KDDIのpovo)
大手キャリアが格安プランを始め、MVNOキャリアは戦略見直しが必要(KDDIのpovo)

さて20GBが「低料金」となったということは、50GBや100GBを使うユーザーも少なからずいるということになる。最近では自宅に光回線を引かない人も増えているが、スマートフォン回線が高速化した今の時代、自宅でもスマートフォンをそのまま使い、PCを使う場合もスマートフォンのテザリングで済ませても速度的な不満は出ないだろう。20GBのプランも1か月で使い切ってしまうユーザーは多いに違いない。

ちなみに香港に居住する筆者の自宅もスマートフォン回線しか使わず、ノートPCもテザリングで同回線を使っている。毎月の使用量は少ないときでも150GB、多いときは300GBくらいになる。光回線と異なり容量を気にしなくてはならないのだが、夜通しNetflixで映画を見てしまう、といったことが減るため健康にはいいのかもしれない。とはいえ最近はやりの海外展示会のオンラインカンファレンスの視聴が続くときは、時には動画の品質を下げて「ギガ」を使いすぎないように気を付けている。

筆者のスマホ2回線のデータ使用量。左(SmarTone)は17日で約75GB。右(中国移動香港)は28日で約70GB。1か月あたり200GBになりそうだ
筆者のスマホ2回線のデータ使用量。左(SmarTone)は17日で約75GB。右(中国移動香港)は28日で約70GB。1か月あたり200GBになりそうだ

おそらく数年もすれば、1か月100GBを使うことも当たり前になっているだろう。例えば動画視聴もスマートフォンでは2Kが当たり前になり、自宅に戻ればスマートフォンを4K TVに接続して4Kで視聴する、といったようにコンテンツをよりリッチな品質で視聴するようになる。自宅に光回線があればスマートフォン回線を使う必要はないだろうが、カフェで映画を見ようとしたとき、下手すると無料Wi-Fiより5G回線のほうが高速で快適なケースも増える。リッチコンテンツを見ることに慣れると、利用するデータ量は増えていくのだ。

香港では現在、各キャリアは300GBの5Gプランを出しているが、それでも毎月足りないという声も聞かれる。一方プリペイドSIMカードを出すキャリアは、高容量な製品を出すことで使いやすさをアピールしている。例えば10GB使えるプリペイドSIMを買った場合、毎日YouTubeを見ていれば、数日で残高がなくなってしまい、そのたびに料金を追加しなくてはならない。しかし100GBのプリペイドSIMなら、1か月くらいは料金追加不要で使えるというわけだ。

香港大手キャリアの料金プラン。中国移動香港は300GB/月で498香港ドル(約6800円)
香港大手キャリアの料金プラン。中国移動香港は300GB/月で498香港ドル(約6800円)

香港では2020年に続々と高容量のプリペイドSIMカードが登場し、100GBや200GBのものも増えていった。そして2021年になると、ついに500GBのプリペイドSIMカードが登場。もはやこの容量はギガではなくテラ=TB単位で呼んだほうがいいかもしれない。この「0.5TB」プリペイドSIMカードの有効期限は365日。残念ながら4G回線専用だが、一度買っておけばおそらく数か月使い続けることができるだろう。

この500GBプリペイドSIMカードの販売価格は599香港ドル。この価格は期間限定キャンペーンだが、香港ではMVNOキャリアのキャンペーン価格は期間延長されることが常だ(定価に戻せば誰も買わなくなる)。日本円では約8100円。ギガ当たりの単価を出すと、16円/GBとなる。日本の2980円プランのギガ単価は2980 / 20 = 149円/GBなので、それより1/10安い計算になる。

香港のMVNOキャリア、現代移動は500GB使えるプリペイドSIMカードを発売
香港のMVNOキャリア、現代移動は500GB使えるプリペイドSIMカードを発売

ちなみに香港のMVNOキャリアは数十社以上あり、ほとんどがプリペイドSIMカードサービスを行っている。ターゲットは年間2000万人を越える海外からの訪問客だが、2020年は新型コロナウィルスの影響でSIMカード販売数は大きな打撃を受けた。そこで国内需要に切り替え、高容量製品を売ることでマイナスをカバーしようと必死になっている。

香港の大手キャリアも300GBプランに10%のボーナスを追加して330GB使えるキャンペーンを開始。年末あたりには500GB、あるいは1TBのプランが新設されるのは目に見えている。一方日本の大手キャリアは今のところ5Gプランはデータ使い放題だが、いずれ2980円プランのデータ容量が100GB、500GBと増加し、いつの日か1TBといった容量が当たり前になることだろう。

この記事が気に入ったら
いいね ! をお願いします

Twitter で

山根康宏のワールドモバイルレポートカテゴリの最新記事