5Gスマホ1万円時代到来、2021年は5G普及元年になる|山根康宏のワールドモバイルレポート

5Gスマホ1万円時代到来、2021年は5G普及元年になる|山根康宏のワールドモバイルレポート

シャオミがソフトバンクから発売するスマートフォン「Redmi Note 9T」は5Gに対応しながら19,637円(税抜き)、税込みでも21,600円という超格安価格で登場した。しかもFelicaも搭載。カメラは6,400万画素、ディスプレイは6.53インチフルHD+解像度と日常的に使う分には十分な性能だ。ここまで安い5Gスマートフォンが出てくると、もはや4Gスマートフォンを買うのが勿体ないと思ってしまうかもしれない。
ちなみにRedmi Note 9Tを1年間使うとすると、1日当たりわずか60円で買えてしまう計算だ。驚異的な価格といえるだろう。

2万円で買える5Gスマホ、Redmi Note 9T
2万円で買える5Gスマホ、Redmi Note 9T

ソフトバンクもここまで安いスマートフォンなら複雑な割引を提供せずとも、2年契約の通信料金で端末代をカバーできるだろう。MNPを利用すると1円となるが、元の価格を考えればキャリア側の負担も大きくない。

通信キャリア各社はユーザーの5G移行を促したいだろうが、現時点では5Gスマートフォンは高価な製品が目立つ。日本のSIMフリー端末市場ではTCLやファーウェイが3万円前後の5Gスマートフォンを出してはいるものの、TCLはまだ日本では消費者認知度が低く、ファーウェイはグーグルサービスが使えないため一般消費者に適した製品とはいいにくい。またソフトバンクがこれらのSIMフリーモデルを販売するのも現実的ではない。キャリア自らが低価格な5Gスマートフォンを提供することで、ユーザーの5G移行をスムーズに進めることができるのだ。

通信キャリアがユーザーの5G利用を促したいのには理由がある。5Gに設備投資していることから費用を回収しなくてはならないのは当然だが、5Gの利用者からは4Gより高い収益を得られるからである。
2019年4月に5Gを世界でいち早く開始した韓国では、2020年末時点で5Gユーザー数は3キャリア合計で1,185万人に達した。これは総契約者数7,050万人の16.8%に相当する。平均通信速度は690.47/Mbpsで、4Gの約4倍だという。平均利用データ量は約24GBで、これは4Gの2.5倍相当とのこと。5G利用者はデータをより多く使うようになり、スマートフォンを利用する時間、依存する時間が長くなっている。ここから新しいビジネスチャンス、収益化サービスを提供できるわけだ。

5G加入者増を狙う韓国キャリア。高速通信など5Gの優位性をアピール
5G加入者増を狙う韓国キャリア。高速通信など5Gの優位性をアピール

なお韓国3キャリアのARPU(Average Revenue Per User、1ユーザー当たりの平均収益)は5Gを開始したにもかかわらず数%程度しか向上していない。これはパンデミックの影響で家に籠ることが多いことも関係しているだろうか。自社サービスを提供するだけではなく、Netflixのバンドルサービスなど、5Gサービスでは他のサービスプロバイダーとの連携もしやすくなるため、キャリア収益を高める方法は4Gよりも多くなる。

さて、その韓国ではサムスンの「Galaxy A 5G」シリーズ、LGやシャオミの低価格5Gモデルなど、5G加入者を増やすために低価格な5Gスマートフォンを提供しているが、最低価格は日本円で4万円台だ。2万円のRedmi Note 9Tが投入された日本のほうが、5Gスマートフォンの低価格化では先を進んでいる。

しかし中国を見ると、5Gスマートフォンの低価格化が2021年に入ってから急激に進んでいるのだ。シャオミはRedmi Note 9Tの200万画素カメラ(深度測定用)を800万画素(超広角)にバージョンアップした中国モデル「Redmi Note 9 5G」を1,299元(約21,000円)で販売している。1,000元(約16,000円)を切る5Gスマートフォンもすでに複数販売されている。
こうなると4Gスマートフォンは2万円台の価格では勝負にならず、シャオミが自ら599元、約1万円を切る「Redmi 9A」を出すなど、低価格化は限界に近付いている。恐らく2021年後半には中国国内で販売されるスマートフォンはほとんどが5Gになるだろう。

中国キャリアも低価格5Gスマートフォンを積極的に投入している。中国にある3つのキャリアの1つ、中国電信は自社ブランドの名前を付けた5Gスマートフォン「天翼一号」を2020年12月に999元(約16,000円)で発売、立て続けに2021年1月には「天翼一号2021」を1,499元(約24,000円)で発表した。また別キャリアの中国聯通も自社ブランドスマートフォン「U-Magic」シリーズを1月に発表、価格は1,699元(約27,000円)からだ。

中国聯通自社ブランドの5Gスマホ。キャリアによる低価格スマホは今後増えそうだ
中国聯通自社ブランドの5Gスマホ。キャリアによる低価格スマホは今後増えそうだ

ファーウェイ、シャオミ、OPPO、Vivoの4大中国メーカーは、今や毎月5Gスマートフォンの新製品を複数出しているが、1,000元台のモデルも必ず含まれている。低価格5Gスマートフォンの数が急増したことで、中国最大のキャリア、中国移動は2020年12月の5G新規加入者数が1,760万人増加した。わずか1か月で東京の人口を超える数の5G加入者が増えているのだ。2020年末時点で中国の5G加入者は2億5,000万を越えているが、加入者増を後押ししているのは2-3万円程度の低価格5Gスマートフォンの登場によるところが大きい。

日本の場合は5Gが使えるエリアがまだまだ少なく、低価格な5Gスマートフォンが出てきたからと言って、今すぐ5G加入者が目立って増えないかもしれない。しかしすでに各メーカーが2万円前後の5Gスマートフォンを作る技術を持っており、日本でもこれからRedmi Note 9Tと同程度の価格の5Gスマートフォンが次々と出てくるだろう。
2020年は新型コロナウィルスの影響で5Gどころではなかった。2021年は低価格5Gスマートフォンの登場で、ようやく「5G元年」と呼べる年になりそうだ。

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