「WCCE2022」日本開催決定の背景【前編】|上松恵理子のモバイル教育事情

「WCCE2022」日本開催決定の背景【前編】|上松恵理子のモバイル教育事情

4年に1度開催される国際カンファレンス「WCCE (World Conference on Computers in Education) 2022」が日本で開催されることになりました。場所は広島の国際会議場にてハイブリッド開催となります。今回は、その立役者となった運営委員長である齋藤俊則先生にインタビューを行いました。

WCCE 2017 in Dublin
WCCE 2017 in Dublin の様子

WCCE 2022 公式サイト
https://wcce2022.org/

上松:「WCCE2022の日本開催決定、おめでとうございます!」という話をしたのがコロナ前でしたね。その後、1年延期となり、来年にハイブリッド開催ということになりました。
ワクチンもその頃には行き渡っていると思いますし、良かったですね。私も日本の開催国組織委員[1]に就任させていただいたことで、これからどんどん色々なところで紹介していきたいと思っています。

齋藤俊則先生(以下、齋藤):WCCEは色々な国[2]でこれまで開催されてきました。アジアからの参加者も多いですし、それこそ世界中から学校の先生方をはじめ様々なステイクホルダーが集まります。研究者はもちろんですが、小中高校の先生、政府や自治体の教育委員会などの機関や企業の方々が一同に介する機会です。イギリス、北欧、ヨーロッパ、オセアニア、北米、中南米(ブラジルやコスタリカなど)、アカデミックな学会という意味だけではなく、色々な人が関わるんです。アフリカの方々などには渡航に対するファイナンシャルサポートもあるんですよ。

上松:すごいですね!何年か前にイギリスのBETT(British Educational Training and Technology)に行った時に、あれは企業がメインだったのですが、先生方も児童生徒も来ていてびっくりしました。先生方は出張で来ているようで、北欧やフランスなどからもいらしていましたし、一緒に児童生徒を引率してまるで修学旅行のようでした。しかし、今回のWCCEは国際的で、まるでオリンピックのように4年に1回開催されるというすごいものですよね。

齋藤: IFIP(International Federation for Information Processing)の下にあるテクニカルコミッティ(技術委員会)3、略してTC3といいますが、これは情報教育と教育の情報化のエリアをカバーする教育に特化したテクニカルコミッティで、それがWCCEを担ってきたんです。
IFIPは情報処理国際連合といって、1960年に国連ユネスコの提案で各国のコンピュータや情報処理の学会が集まって結成されたのですが、情報処理研究の振興とその成果の世界的な普及をミッションとする国際機関であり、特に情報処理技術の研究参加や成果の享受において、途上国を取り残さずに公平に行われるための条件づくりなどに熱心に取り組んでいます。単にコンピュータの技術を研究するだけでなく世界にコンピュータ技術の恩恵を広めていく機関なんですね。
TC3は教育に特化しているので情報技術の理解などを広めていくことがテーマとなっています。

上松:なるほど、世界の情報関係の学会が入っていて、日本は情報処理学会がそれにあたるのですよね。

齋藤:はい、情報処理学会は1960年に日本にそういう情報技術の学会がまだなかったということで、そこで学会を作ったんです、それが今の情報処理学会のスタートとなっているんです。

上松:そういういきさつだったんですね。今では情報系の学会の中では日本最大級、会員も2万人近い学会へと成長しましたね。

齋藤:IFIPのフラグシップカンファレンスであり、これまでTC3が開催してきたWCCEは1970年にオランダのアムステルダムで第1回が開催されているんです。ここでも、研究者はもとより、教員と政策を作るポリシーメイカー、日本で言えば文部科学省、政府の官僚やユネスコの方やEUの教育とコンピュータに携わるあらゆる人が集まりました。

上松:それは、学校の先生方にとってのメリットが多いですね。広島にも多くの先生方に集まって欲しいですね。

齋藤:メリットはとても多いです。世界の教育の現場の声を聞いて質問をしてやりとりする機会がある。教育に関心の高い人が大勢集まる場所ですからね。

WCCE 2017 in Dublin の様子

[1]日本の開催国組織委員
【委員長】萩谷昌己(東京大学 大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻兼理学部情報科学科 教授)
【委員】稲見昌彦(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)
【委員】上松恵理子(武蔵野学院大学 国際コミュニケーション学部 准教授/東京大学先端科学技術研究センター客員研究員)
【委員】大岩元(慶應義塾大学 名誉教授)
【委員】柏原昭博(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 教授)
【委員】熊平美香(昭和女子大学 ダイバーシティ推進機構キャリアカレッジ 学院長)
【副委員長】斎藤俊則(星槎大学 大学院教育実践研究科 准教授)
【委員】鈴木寛(東京大学 公共政策大学院 教授/慶應義塾大学 大学院政策メディア研究科兼総合政策学部 教授)
【委員】高橋尚子(國學院大学 経済学部 教授)
【委員】竹内郁雄(東京大学 名誉教授)
【委員】美馬のゆり(はこだて未来大学 システム情報科学部 教授)
【委員】村井純(委員慶應義塾大学 教授)

[2]World Conference on Computers in Education (WCCE)
• 第1回/アムステルダム/1970年
• 第2回/マルセイユ/1975年
• 第3回/ローザンヌ/1981年
• 第4回/ノーフォーク(バージニア州)/1985年
• 第5回/シドニー/1990年
• 第6回/バーミンガム/1995年
• 第7回/コペンハーゲン/2001年
• 第8回/ケープタウン/2005年
• 第9回/ベント・ゴンサルベス/2009年
• 第10回/トルン/2013年
• 第11回/ダブリン/2017年
wcce2021@gred.seisa.ac.jp

後編では、齋藤先生が情報教育分野に興味を持ったきっかけや、WCCEの開催が企業に与えるメリットなどについてご紹介します。

企業の皆様へ

現在、WCCE 2022 の開催にあたり協賛企業を募集しております。この会議のより良好な実施に向けてご協賛賜れば幸いです。協賛条件及び連絡先などの詳細は以下の資料をご覧ください。

WCCE 2022 説明パンフレット(PDF, 894KB)
WCCE 2022 スポンサーのお願い(PDF, 954KB)

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