炎天下のスマホ高温にご注意|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

炎天下のスマホ高温にご注意|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

今年は残暑も厳しいですね。この暑さはこたえますが、これはスマホにとってもダメージは多そうです。皆さんのスマホは大丈夫でしょうか?!

以前、4月2日に掲載したコラムでご紹介した、スマホバッテリーの劣化に関する研究を行う電気通信大学横川慎二教授らのプロジェクトですが、その後の研究も続投中のようで、7月には炎天下の自動車ダッシュボードにスマホを放置したらどうなるかという実験を行いました。
スマホ熱中症調査」と銘打ったこの調査レポートをご紹介しましょう。

この実験では、外気温32℃を超えた炎天下の2021年7月17日、19日、24日の3日間、自動車車内と、屋外でそれぞれスマートフォンに対して温度センサを取り付け、端末温度の調査を実施しました。

高温な車内での炎天下温度試験

3回行われた「スマホ炎天下温度試験」ですが、まず第1日目はスマホでカーナビを利用している想定で、モバイル充電器に接続した状態にして車体に直射日光が当たる状態で実験。最初の15分はエンジンをかけ、エアコンをつけた状態(20℃、上下送風)に、その後エンジンを止めて温度差を調査しました。
温度測定には温度センサをスマホに貼り付けて継続的な温度変化を計測。

車内、スマホと温度センサを設置した位置
車内、スマホと温度センサを設置した位置

その結果ですが、実験開始時からダッシュボード、スマホホルダー(ダッシュボード上)、シートの3か所はエアコンを入れていても関係なく温度が上昇し、エアコンを止めた後も上昇し続け、実験開始から30分程度でダッシュボード(温度センサのみ)がいち早く60℃に到達したそうです。

車内放置実験の温度推移
車内放置実験の温度推移

ダッシュボード上に置かれたスマホ、スマホホルダー上のスマホいずれも50℃を超え、非常に危険な状態となりました。

実験終了後に再度測定したところ、スマホホルダー上のスマホは46.0℃と少し下がったものの高温を保ち、シートに置かれたスマホは48.1℃、エアコン吹出口に設置されたスマホも43.5℃になるなど、炎天下の中でエンジンを切ってスマホを車内に放置すると40℃を超える高温状態が続くことが分かりました。

車内放置実験のサーモグラフィ像
車内放置実験のサーモグラフィ像

スマホに利用するリチウムイオンバッテリーは熱の影響を受けやすいもので、故障の原因につながるだけでなく、熱により膨張・発火の恐れもあり非常に危険と結論付けています。

じつは筆者も以前、カーナビ用にAndroidタブレットを車内に固定し、長期使っていた時期がありました。実質2年間ほど設置したままにしていたのですが、夏場はクルマに乗りエンジンをかけるとタブレットの画面上に「温度注意」の警告がよく出ていました。また寒冷地だったため冬場はマイナス10℃以下になることも珍しくなかったのですが、そうした場合も「温度注意」警告が出ていました。
おかげさまで発火するようなことはありませんでしたが、タブレットにとってはとても過酷な環境だったことでしょう。
iPhoneやiPadなどApple製品も同様に温度によって警告が出ますし、筆者が使っていたAndroidタブレットも世界シェアトップのメーカーのものでしたから安全対策は万全だったと思われます。昨今は安価なスマホやタブレットも多いので、そうした端末では注意が必要ですね。

屋外で直射日光を浴びる温度試験

そして2日目、3日目は公園など、屋外でスマホを利用する場合を想定し、ながら充電の場合、放置した場合にてサーモカメラ上で比較するという実験を実施しています。3日目のほうは、モバイル扇風機を使った空冷実験も追加しています。

2日目の炎天下での実験は、まず充電器をつないだスマホやそのままにしたスマホを、サーモカメラを利用して20分間測定しています。測定終了後には52.7℃や53.1℃と、充電したスマホの表面温度は50℃を超え、そのうち1台のスマホの裏面は60℃を超える結果となったそうです。

炎天下実験のサーモグラフィ像
炎天下実験のサーモグラフィ像

電気通信大学横川慎二教授らが春先に実施した実験(4月2日に掲載したコラム)では、充電しながらのスマホ利用、すなわち「ながら充電」は端末が高温になり、その結果バッテリー寿命を縮めるというものでした。
炎天下で充電することも同様に、端末がいっそう高温になり危険であると指摘しています。

電気通信大学横川慎二教授はこの実験について、
20分以内でスマホは高温になり、危険な状態になります。炎天下で充電しながら屋外で利用することは絶対避けるべきと考えます」とコメントしています。

スマホ炎天下試験の3日目は、60℃という極限状態までスマホの表面温度を上げ、その後冷却方法別による表面、裏面の温度測定を実施しています。どういった手段が冷却効果が高いのかを比べる実験です。
冷却方法として、①電源オンのまま日陰に移動、②日陰で電源オフ、③日陰で電源オフ&スマホ表面をモバイル扇風機で空冷 の3つ。

炎天下実験の温度推移
炎天下実験の温度推移

裏面が60℃を超えた時点で冷却を10分間行ったところ、まずスマホの裏面で一番温度が下がったのは③の電源をオフしてモバイル扇風機で空冷する方法で20℃下がる結果に。
続いて②の電源オフのみで18℃温度が下がりました。
①の電源をオンしたままでは8℃程度しか温度が下がらなかったそうです。

スマホの表面で一番温度が下がったのは、裏面同様③の電源をオフにしてモバイル扇風機で空冷する方法で14℃、②の電源オフのみで12℃温度が下がる結果となりました。
①の電源をオンしたままでは6℃程度しか温度が下がりませんでした。

スマホの電源をオフにするというのがポイントのようです。そして空冷した表面は、空冷しない場合と比べて数分で温度差が開いたため、早くスマホの温度を下げたい場合には空冷が効果的であるとみて取れます。

電気通信大学横川慎二教授らによる「スマホバッテリー劣化研究プロジェクト」は、2020年7月より株式会社携帯市場と国立大学法人電気通信大学 i-パワードエネルギー・システム研究センター横川研究室による産学連携研究プロジェクトで、スマートフォンなどの情報端末におけるバッテリーの劣化についてアンケート調査やフィールド調査を行っています。

今後の続報が楽しみです。まだまだ残暑厳しい日が続いていますが、だからこそ極寒におけるバッテリー劣化についてのレポートも期待し、その実験環境を空想して涼しい気分になりたいと思う今日この頃です。

株式会社携帯市場:【プレスリリース】携帯市場と電気通信大学の産学連携「スマホバッテリー劣化研究プロジェクト」が炎天下での“スマホ熱中症”調査を発表!
https://keitaiichiba.co.jp/news/?p=2569

【参考ページ】こちらもぜひご覧ください。

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