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「学歴よりもスキルと学習歴」の時代へ ~IT人材育成モデル「P-TECH」とは~【後編】|上松恵理子のモバイル教育事情

前編ではP-TECHのステークホルダーと連携と共創について述べた。今回の後編ではそのメリットについて述べたい。

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教育に関わることが企業にとってのメリット

産官学で取り組むプロジェクトは企業にとってどのようなメリットがあるのかを考えてみた。
社会貢献活動といえば、社会活動に関わる今話題の「CSR」がある。これまで企業はコンプライアンス(法令遵守)が大事だと言われていたが、コンプライアンス以上に企業の活動を社会貢献に結びつけることが重要であるという考え方、それがCSRである。時にはCSRによって企業への信頼が構築されることから、株価にも影響を与える。
企業が利潤の追求をする場合、企業はあらゆるステークホルダーへの社会的責任があるという考え方により、企業はそれぞれ自社の課題を見つけてCSRを自ら作り上げていく時代となっている。

CSR
= Corporate Social Responsibility 企業の社会的責任。

また、現在の社会状況では「SDGs」がどこででも叫ばれる時代となっている。企業が利益だけを追求しても、その企業やそれを取り巻く社会が持続可能でなければ、巡り巡って企業にもダメージがあるだろう。
つまり、人材の教育に関わることでは、企業にとって持続可能なIT人材の育成を行うことが、巡り巡ってその企業の採用にも役立つことにもなる。

SDGs
= Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標。
参考: SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

質の高い教育の提供を行うことは企業価値の向上、ブランディングということにも繋がるだろう。地元に貢献しているという企業への信頼性がその地域に生まれる。
きちんとコミュニティに対して発信することで、よりよい信頼関係が生まれていくだろう。

さらには、社員のエンゲージメント向上というメリットもある。これまでの企業は終身雇用制度の中で社員旅行、忘年会、運動会など日本企業としての独自な社風を築いているところも少なくない。
これらは従業員の会社に対する愛着心や思い入れを深めていくことが目的である。しかし、このように教育に関わって行く取り組みにおいて、社員が自分自身の価値を再認識するということもあるようだ。

例えば高校生との交流の際に、自分のITスキルについて話をすることで、自分の価値を再確認することができる。企業にとっても社員個人にとっても、プロジェクトに参加する動機づけになっているのだと感じる。

教師にとってのメリット

他には、最新情報を知らない教師の知識がどんどんとアップデートされていくというメリットもある。
教師に対する教育には教育免許更新講習などがあるが、研究会などに参加しないかぎり、自らの知識のアップデートをする機会はなかなか作れない。しかも最先端のIT企業と関わることは難しく、数年前に検定を受けた教科書をもとに授業を進めていくスタイルがメインである。
調べてみると教師向け講座もあり、ここでは教員が楽しみながら、IT人材の育成をするために仲間と共に講座を受けるという仕組みがあった。

企業の変化、IT社会の進化、教育の変革と色々とヒントになることが多く、これからは日本にも情報社会に対応できる人材の育成が必要になってくると感じた事例である。

教育に関わることが企業にとっては多大なメリットとなる。また、企業が地域の教育に関わることは持続可能な社会にとっても必要なことである。
一企業がやれることは限られているかもしれない。しかし、企業が旗を振り、行政や学校、地域などに声をかけてそれを繋げていくことこそが地域にとって求められている、そういう時代となってきた。


前編はこちらからご覧ください。

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