折り畳みスマホの王者サムスンを、OPPOとファーウェイが一気に追い上げる|山根康宏のワールドモバイルレポート

折り畳みスマホの王者サムスンを、OPPOとファーウェイが一気に追い上げる|山根康宏のワールドモバイルレポート

2021年は折り畳みスマートフォンの販売数が急増し、一般消費者にも「画面の曲がるスマホ」がようやく認知されはじめた年だった。
サムスンが夏に投入した「Galaxy Z Flip3 5G」「Galaxy Z Fold3 5G」はどちらも予想を超える好調な売り上げを記録したという。特に1000ドルを切る価格で登場した縦折り式のGalaxy Z Flip3 5Gは折り畳みスマートフォンの価格を一気に引き下げた。韓国の証券会社の調査によると、2022年のサムスンの折り畳みスマートフォンシェアは8割近くになると予想されている。

しかしその「折り畳みスマホ王者」サムスンを中国メーカーが急激に追い上げようとしている。
そもそも中国市場はサムスンのシェアがわずかしかなく、サムスンの折り畳みスマートフォン2機種も実際の購入者の数は少ない。サムスンとしては折り畳みスマートフォンで中国メーカーとの差別化を行うことで、過去に失われたブランド力の復権を目指しているが、その動きに対し大きな壁が立ちはだかろうとしているのだ。

OPPOから突如発表された折り畳みスマートフォン「Find N」
OPPOから突如発表された折り畳みスマートフォン「Find N」

OPPOが2012年12月に発表した「Find N」は、サムスンのGalaxy Z Fold3 5Gと同じ横折り式のスマートフォンだ。驚くべきは価格で、7699元、約14万円だ。サムスンの製品が20万円を超えることを考えると、この価格は「激安」とも言える破格値であり、中国ではFind Nの予約開始とともに初回出荷分が即座に完売となった。14万円ならiPhoneの上位機種と価格は変わらず、ならば開くと7.1インチの大画面、閉じると5.46インチのコンパクト画面を使い分けられるFind Nを買おうと考える人も多いだろう。サムスンはGalaxy Flip3 5Gで縦折り式スマートフォンの価格破壊を行ったが、横折り式のスマートフォンではOPPOにしてやられたのだ。

ちなみにシャオミも2021年3月に発表した横折り式スマートフォン「Mi MIX Fold」を9999元、約18万円で発売し当時は大きな話題となった。しかし使い勝手が今一つであったことや、サムスンより安いとはいえシャオミの製品にしては高価なことなどから売れ行きは思わしくなかった。なおFind Nの発表を受け、シャオミはMi MIX Foldの価格をより安い6999元、約12万7000円に下げている。
最新テクノロジーの製品を他社より安い価格で出すのはシャオミがこれまでやってきたことだが、今回はOPPOに出し抜かれてしまったのである。

一方、縦折り式スマートフォンはこちらも2021年12月にファーウェイが「P50 Pocket」を発表した。価格は8988元、約16万円でサムスンのGalaxy Z Flip3 5Gより高い。しかしP50 Pocket 5Gはサムスン製品よりも優れた部分を持っている。それは本体を閉じたときにすき間がないのだ。

ファーウェイの縦折り式スマートフォン「P50 Pocket」
ファーウェイの縦折り式スマートフォン「P50 Pocket」

サムスンの2製品はどちらも本体を折りたたむとヒンジ部分にすき間がある。つまり完全に閉じ合わせることができないのだ。すき間の間隔はわずかであるため実用上は気にならないが、ポケットに入れたときなどほこりなどがすき間に挟まってしまう恐れもある。ガラケー時代の携帯電話も畳んだ状態ですき間は無かった。
スマートフォン本体の性能とは別に、ヒンジ部分にすき間がないというだけでもP50 Pocketのほうが消費者にとって購入意欲が高まるだろう。中国国内ではファーウェイのスマートフォン出荷量が減っているが、P50 Pocketは再び同社に中国の消費者の目を向けさせる存在になるだろう。

閉じてもすき間が無いP50 Pocket
閉じてもすき間が無いP50 Pocket

そしてOPPOのFind Nも実は畳んだときに隙間なしを実現している。しかも開いたときは、そのヒンジの部分のディスプレイ上に「筋(すじ)」「折り目」が見えないのだ。
この折り目はサムスンの折り畳みスマートフォンには必ずあるものであり、実際に使ってみると実用上は気にならない。とはいえ高価な折り畳みスマートフォンを初めて買う人は「表示の妨げにならないだろうか」と購入をためらってしまうかもしれない。

Find Nはディスプレイに折り目がない
Find Nはディスプレイに折り目がない

このように折り畳みスマートフォンで敵なしと思えたサムスンに対し、中国2社が挑戦的な製品を投入してその牙城を崩そうとしているのだ。グローバル市場ではOPPOとファーウェイの影響力はそれほど高くないかもしれないが、中国国内ではせっかく上向き傾向だったサムスンに対するイメージが、OPPOとファーウェイの2製品で一気に止められてしまうだろう。

2022年のサムスンは例年通り8月に折り畳みスマートフォンの後継モデル「Galaxy Z Flip4」「Galaxy Z Fold4」を出すと見られている。すでにGalaxy Z Flip3 5G、Galaxy Z Fold3 5Gで折り畳みスマートフォンとしての機能はある程度成熟されており、今後はカメラ性能アップなどスマートフォンとしての機能を拡充させる進化が期待されていた。しかしそれだけではなく、後から追いかけてきた中国メーカーを引き離すためにも、すき間も折り目も無い折り畳みディスプレイを搭載することが必要になるだろう。

サムスンは折り畳みディスプレイの「折り目」「すき間」を無くすことができるか
サムスンは折り畳みディスプレイの「折り目」「すき間」を無くすことができるか

サムスンがけん引するとみられていた折り畳みスマートフォン市場は、ここに来て伏兵ともいえる中国メーカーが一気に存在感を高めてきた。OPPOとファーウェイの追い上げを受け、サムスンの2022年の折り畳みスマートフォンがどのような製品になるのか楽しみなところだ。

この記事が気に入ったら
いいね ! をお願いします

Twitter で

山根康宏のワールドモバイルレポートカテゴリの最新記事