中国メーカーが消えた「CES 2022」、韓国企業のメタバースが気になった|山根康宏のワールドモバイルレポート

中国メーカーが消えた「CES 2022」、韓国企業のメタバースが気になった|山根康宏のワールドモバイルレポート

2022年1月5日から7日まで、アメリカ・ラスベガスでCES 2022が開催された(主催:CTA=Consumer Technology Association)。大手家電メーカーや自動車メーカー、またインテルやクアルコムといったITベンダーも出展するCESは世界最大のIT関連イベントだ。ここ数年はアリババ、ファーウェイなど中国企業の出展も増えており、町工場レベルの中小企業を含め中国の存在感が非常に高まっている。

2021年は新型コロナウィルスの影響により展示会場でのリアルイベントは中止、2022年は2年ぶりの開催となった。しかし2021年末からの変異株「オミクロン株」の流行により大手企業が相次いで出展を中止。さらに2022年は2月1日が旧正月であり、中国企業はCES終了後に中国に戻ると3週間の隔離となり、旧正月前の業務への影響や正月帰省ができないといったこともあり、ほとんどの企業が出展を取りやめた。

そのためCES 2022の会場は空きブースが目立ち、LGやパナソニックのように出展はしたものの展示はなくQRコードで製品紹介をするだけ、といったところも多かった。ソニーは新しいEV「VISON S-02」を発表し展示に注目が集まったが、それでも来場者の数はかなり少なかった。

ソニーブースに展示してあったVISION S-02
ソニーブースに展示してあったVISION S-02

大手企業でいつも通りの展示を行っていたのはサムスンハイセンスTCLの大手家電メーカーだ。
サムスンはブース入場を登録制として入場制限を行うなど感染防止対策は万全に行い、ハイセンス、TCLはブースをオープン型レイアウトとして密がおきないようにしていた。
各メーカーともTVなど新製品を多く発表しており、やはりCESは2022年に向けてのメーカーの意気込みを表すイベントとして重要視しているのだろう。この3社はアメリカ市も重要視しているだけに、CESへ出展しないという選択肢はなかったようだ。

TVを中心に新製品を多数出展したサムスン
TVを中心に新製品を多数出展したサムスン

このように韓国と中国の大手家電メーカーが最も注目を集めたCES 2022だったが、会場全体を見ると前回までどこにでも見かけた中国メーカーの姿が他にはおらず、中国語が全く聞かれず、アジア人の来場者も少なかった。とはいえアジア人の姿はそれなりに見かけたのだが、その多くが韓国人だった。

韓国は様々な機関や地域が主体となってスタートアップや中小企業を集めた特設ゾーンを展開しており「XX市ブース」のようなエリアには10から20社近くが出展。CESへの出展には費用がかかるが、特設ゾーンであればその心配は少ないと言える。隙間の空いた会場を歩いていると、ところどころに韓国企業を集めたブースを見かけるなど存在感が高かったのだ。
一方日本のスタートアップも例年より出展企業は増えていたが、その数は韓国には及ばないといったところ。韓国の出展企業の中には韓国からアメリカに留学中の学生や、アメリカ在住の韓国人をブース説明員に使うところも多く、韓国からアメリカへの渡航のわずらわしさを避けるだけではなく、英語のできる説明員を置くことでCES来場者へ効果的に自社製品の説明を行っていた。

韓国は大学の出展も目立っていた
韓国は大学の出展も目立っていた

韓国の大手としてちょっと気になったのはロッテヒュンダイハンコムコンピューターだ。いずれもメタバース関連の展示が行われており、すぐにでもビジネス展開できるようなデモが行われていた。
ロッテの子会社であるロッテ・データ・コミュニケーションはVRを使ったバーチャルショッピングを出展。バーチャルアシスタントが製品説明を行ってくれ、バーチャル空間で購入した製品は実際に自宅に届けられる。ハンコムコンピューターも同様のショッピング体験をメタバース内で行っていた。

ロッテのバーチャルアシスタント。彼女が製品説明を行ってくれる
ロッテのバーチャルアシスタント。彼女が製品説明を行ってくれる

またヒュンダイはブース内のプロジェクター投影されるデモに自分のアバターを使って参加できるなど、VRグラスを使わずともその場で自分の分身をデモエリアで自在に動かすことが可能だった。この展示は来場者に好評だったようで、今後の展示会でもライトなメタバース空間の応用といった感じで広がっていきそうだ。

中国企業の存在感が薄れた中で韓国企業が目立っていたということは、韓国の多くの企業が中国企業の躍進に危機感を持っており、それに負けじと技術開発を地道に続けているということだろう。来年のCES 2023はどのようなイベントになるかわからないが、日本企業の存在感をもっと高めてほしいものである。

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