モトローラのスマホが復活、折りたたみ最新モデルを早く出してほしい|山根康宏のワールドモバイルレポート

モトローラのスマホが復活、折りたたみ最新モデルを早く出してほしい|山根康宏のワールドモバイルレポート

モトローラのスマートフォンの動きが活発化している。2022年に入り「トリプル高画質カメラ」搭載のハイエンドモデル「edge 30 PRO」を日本を含む各国で発売した。その性能は大手他社の上位モデルと比べても全くそん色は無い。
一方で低価格な「moto E」シリーズはモトローラファンを増やす存在になっている。モトローラの製品ラインナップは気が付けば上から下まで多数のモデルを揃えているのだ。

2022年のフラッグシップモデル「edge 30 PRO」
2022年のフラッグシップモデル「edge 30 PRO」

モトローラと言えば世界初の携帯電話を開発したメーカーであり、2000年代頭まではノキアなどと携帯電話市場の上位を争っていた。iPhoneが登場した2007年以降もアメリカ向けにAndroidスマートフォン「DOROID」シリーズを展開し、大きな人気となった。
しかしサムスンやHTCが力を伸ばしていく中で企業全体の収益も失速し、2010年には通信インフラ部門をノキアに譲渡。2011年にはソリューション事業(モトローラ・ソリューションズ)とデバイス事業(モトローラ・モビリティー)に企業を分割、そして2012年にはモトローラ・モビリティーがグーグルに買収された。

グーグル買収後のモトローラの端末は、Androidのリファレンスモデルとして最新OSを搭載する一方、スマートフォンそのものはハイエンドよりもミドルレンジ中心の展開とし、買いやすい価格のモデルを増やしていった。そしてグーグルは買収からわずか2年ちょっとで事業をレノボに売却、現在のモトローラの端末事業はレノボ傘下となっている。

グーグル時代にモトローラのスマートフォンは上位モデル「moto X」、ミドルレンジ「moto G」、エントリー「moto E」とモデル名とラインナップをわかりやすく再編し、レノボ傘下になってからもそれを引き継いだ。とはいえハイエンド不在はモトローラのブランド力を低下させてしまった。
そこで2016年に満を持して登場させたのが背面にマグネットで張り付けるモジュール「moto mods」を利用できる「moto Z」だ。

ハイスペックかつ合体式というmoto Zとmoto modsファミリー
ハイスペックかつ合体式というmoto Zとmoto modsファミリー

スマートフォンとしてもmoto Zはハイスペックかつ薄型ボディーという特徴を持ち、ハッセルブラッドのカメラやプリンターなど様々なmoto modsを装着して機能を大きく拡張することができた。アメリカではスマートフォン本体を5G化する「5G mods」も発売された。
しかしmoto Zシリーズは2019年に終了となり、それからのモトローラはハイエンドモデル不在の地味な存在になってしまったのだ。

2020年には新たなハイエンドとして「Edge」シリーズを投入。その後はmoto Gシリーズを「数字3桁はハイエンド、数字2桁はミドルレンジ」と振り分け、エントリーモデルは引き続きmoto Eシリーズを投入。アメリカには「One」シリーズなどの派生モデルもあるが、Edgeシリーズを上位に置き、下位モデルを多数展開し多くのユーザーニーズに応える製品ラインナップの構築に成功した。

イギリスのモトローラのスマートフォンラインナップ
イギリスのモトローラのスマートフォンラインナップ

モトローラのスマートフォンはグーグル傘下になってから、低価格機を多く出していたこともあり「手軽に買えるスマホ」というイメージが広がった。中南米など元々モトローラブランドが強く、国民の所得の低い国ではそんなモトローラのスマートフォンに人気が大きく集まっている。
Counterpointの調査によると、ラテンアメリカ市場のスマートフォンの出荷台数シェアはサムスン1位に続きモトローラが2位。しかも2021年は2020年より数を増やしている。この地域でもシャオミの力が増しているが、モトローラはそれを寄せ付けない強さを見せている。

中南米市場でモトローラは強力な存在感を示している(Counterpoint調査)
中南米市場でモトローラは強力な存在感を示している(Counterpoint調査)

また北米市場ではLGが撤退したこともあり、アップル、サムスンに次ぐ3位に着けている。アメリカでは低所得者向けのプリペイドスマートフォンが多数販売されており、LGやモトローラの製品も多くの製品を出してきた。だが安価な製品を出すだけでは所得の高い消費者は見向きもしてくれない。Edgeシリーズというハイスペックなスマートフォンを投入したことで、iPhoneやGalaxyを見ていた北米の消費者の一部がモトローラにも注目し、ハイエンドモデルも販売数を少しずつ伸ばしているのだ。

北米市場のシェアの推移。2021年にLGが撤退しモトローラは上昇(Counterpoint調査)
北米市場のシェアの推移。2021年にLGが撤退しモトローラは上昇(Counterpoint調査)

今後は定期的にハイエンド製品のモデルチェンジを行いつつ、得意とする中低価格帯のモデルを出し続ければモトローラのスマートフォンビジネスは順調に伸びていくかもしれない。だがアメリカ以外の市場では中国メーカーの猛攻が続いており、モトローラを特徴づける製品を出さなければ価格競争で負けてしまう。

そのためにもモトローラの「顔」として、折り畳みスマートフォン「razr」の最新モデルを早急に出すべきだろう。razrは世界初の縦折り式スマートフォンとして2019年12月に登場。すき間なく折りたためる構造である一方、ディスプレイの強度が弱く故障も多かったと言われている。しかし畳めばコンパクトな大きさになるスタイリッシュなモデルであり大きな話題となった。

razrは世界で最初の縦折りスマホだ
razrは世界で最初の縦折りスマホだ

2020年9月には5Gに対応しディスプレイも改良した「razr 5G」が登場、その後日本でも発売になった。しかし2021年には後継機種が登場しておらず、その間にサムスンが2機種3モデルを投入し「縦折りといえばサムスン」という印象を世界中に広げつつある。また中国ではファーウェイの縦折りスマートフォン「P50 Pocket」が大人気だ。
モトローラはrazrの3世代目となるモデルをサムスンが毎年発表会を行う8月より先にアナウンスし、世界中の注目を一気に集めてほしいところだ。

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