MatePad Paperも電子ブックリーダーとして使えるが、デジタルノートとしても使える

スマホ、タブレット、ノートPCに次ぐファーウェイの新たなモバイル端末登場|山根康宏のワールドモバイルレポート

スマートフォンは思うように新製品が出せないものの、ノートPCやスマートウォッチ、ワイヤレスヘッドフォンなどでコンシューマー向けビジネスを強化しているファーウェイから、ちょっと気になる新製品が登場している。大手メーカーがこれまであまり手掛けていなかったジャンルの製品であり、用途がマッチすれば日本でも話題になりそうだ。

それは電子ペーパーを使ったタブレット「MatePad Paper」。ファーウェイはこれまでも多数のタブレットを出しており、その性能には定評がある。日本ではドコモから同社のタブレットが販売されたこともあった。
しかしMatePad Paperは今までのタブレットとは異なり、モノクロ画面、ペン対応のデジタルノートおよび電子ブックリーダーとして使える製品だ。

ファーウェイのMatePad Paper
ファーウェイのMatePad Paper

電子ブックリーダー端末としてはアマゾンの「Kindle」が有名だが、そのKindleも最近はカラー画面のAndroidタブレットが多く出てきており、モノクロ電子ペーパーの「Kindle Paperwhite」よりも人気が高い。
テキストを読むだけならモノクロ画面でもいいかもしれないが、電子ペーパーは構造上ページめくりをすると次のページが表示される際に前ページの内容が残像として一瞬残ってしまう上に、書き換え速度も遅い。日本人としてはそのあたりがなんとなく気になってしまう人も多い。

アメリカなどでは重いペーパーブックを薄いタブレットに入れて持ち運べることから安価な電子ペーパータブレットの人気は高いが、日本ではどうしても「どうせなら動画やWEBも見たい」というユーザーが多く、電子ペーパー端末は以前ほどの盛り上がりは見せていない。

MatePad Paperも電子ブックリーダーとして使えるが、デジタルノートとしても使える
MatePad Paperも電子ブックリーダーとして使えるが、デジタルノートとしても使える

ファーウエイのMatePad PaperもKindle Paperwhiteと同じモノクロ電子ペーパータブレットだが、より高度な機能を持っている。まずはスタイラス「M-Pencil」が同梱されており、手書きでメモを書くことができるのだ。また内蔵のメモアプリに手書きで文字を書くと、それをテキストに変換することも可能だ。日本語にも対応しているので、ビデオ会議中にメモを取り後からテキストにして議事録をまとめる、といった用途にも使える。ノートPCでビデオ会議をしているならそのままノートPCのメモ帳などに文字を入力してもいいだろうが、MatePad Paperがあれば気が付いたことや図・イラストを書くといったことも自在だ。また音声を録音しながらメモも取れるので、あとから会議を振り返りつつメモの内容を確認することもできる。

またスマートフォンしか持っていない人がMatePad Paperを併用すれば、会議時のデジタルノートとしてさらに活用できるだろう。

日本語での手書き文字もテキストに清書してくれる
日本語での手書き文字もテキストに清書してくれる

電子ブックリーダーとして使う場合もMatePad Paperは優れている。電子ブックアプリHUAWEI Books」は国内10万冊以上、海外を含め30万冊以上のコンテンツを提供する。またアプリストア「AppGallery」から他の電子ブックアプリもインストール可能。アマゾンのKindleアプリはそのままインストールはできないものの、「PetalSearch」を使いAPKファイル経由で導入が可能。やや裏技だがAPK経由のアプリインストールはグーグルサービスの乗っていないファーウェイのHarmonyOS 2端末では一般的な方法だ。

このようにデジタルメモ、電子ブックリーダーとして十分に使えるMatePad Paperであるが、最大の欠点はグーグルサービス非搭載というところだろう。モノクロタブレットとはいえ自由にアプリを入れたり、メールを使いたいという人も多いだろう。またSNSリーダーとしても使いたいところだ。
このあたりはAndroid OSではなくHarmonyOS 2を採用した端末であるため対応は難しいところだが、標準でブラウザは搭載しているため、Twitterなどはブラウザ経由で利用することはできる。またAppGalleryから海外のSNSアプリであれば一部はダウンロード可能だ。意外なところではマイクロソフトのアプリは一部がAppGalleryで提供されているため、ワードやエクセル、パワーポイントなどは利用できる。

AppGalleryはマイクロソフトのアプリも一部提供している
AppGalleryはマイクロソフトのアプリも一部提供している

使い道によっては便利なデバイスになりそうなMatePad Paperだが、気になるのは価格だろう。定価は6万4800円で、iPad mini Wi-Fi版の5万9800円よりも若干高い。できることを考えればiPad miniのほうが機能は多く、何でもできる端末として考えるとiPad miniを選ぶ人も多いだろう。ファーウェイも購入キャンペーンで本体割引や電子ブックのクーポン提供などを行っているが、できれば定価そのものをもう少し下げてほしいところでもある。たとえば5万円を切る価格なら購入の敷居は下がるだろう。

だが一方では、バックライトを使わない電子ペーパーは目にやさしいディスプレイであり、子供の成長にも悪影響は与えにくい。モノクロ画面ではゲームもやりにくく、子供が勉強中の息抜きにゲームで遊んでしまうことも防げるだろう。また手書きができるため、文字の書き取りの練習にもなる。テキスト中心のデジタル教科書リーダーとしても利用できる。このようにMatePad Paperは子供向けのデバイスとして使うことも有用なのだ。価格は高いものの子供の学習や成長を考えた場合、MatePad Paperは意外と悪くない製品ではないだろうか。学校などでの導入も十分検討してもいいのではないだろうか。
新しいタイプのデバイスだけに、新しい用途展開もぜひ広げてほしいものだ。

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