インタビューの様子

ワーケーションの聖地「CAWAZ」の取り組み【後編】~地元の自然を活かした教育・福祉への貢献

埼玉県日高市にあるコワーキングスペース「CAWAZ」のインタビューです。
前編はこちら。

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CAWAZ 外観と看板

後編では取締役の中島健雄さんも交えてインタビューさせていただきました。

リカレント教育でこれまでのスキルが繋がった

上松:今やWeb3.0の時代ですし知識を更新する必要がありますよね。北川さんも、地域貢献の一環として早速プログラミング教育を実践されたんですね。

北川さん(以下、北川):はい。土地勘の有る場所でスタートしようと思い、最初はここの隣の古民家でプログラミング教室をしていました。ある時ここが売りに出されると聞いて、守りたいと思ったことも理由のひとつです。協力者もいました。

上松:中島さんはどうしてこのCAWAZの地に惹かれたんでしょう。

中島さん(以下、中島):子どもの頃に巾着田に川遊びに来ていて、元々この辺はよく知っていました。都内に近いわりに自然と歴史がある土地です。大人になってからも自転車に乗りに来て、よくこの辺を走っていたのですが、ある時脇道に逸れて里山の集落の道を行くと、森の中に素敵な古民家があったのです。
これが2012年くらいで、今のCAWAZを建てた土地との出会いですね。

上松:CAWAZのそばに何か渋沢栄一の立て札もありましたね。

中島:渋沢栄一が地元を出て都内に向かった道と言われているのがここです。北川さんとは2017年に当時のCAWAZの仲間が開催したイベントで知り合いました。地域の事や共通のドメインであるITの話をしているうちに、北川さんの地域や教育の課題に対するメッセージが自然に伝わってきました。それは、公的な補助金をもとにした街づくりには持続性がない、ソーシャルベンチャーとしてビジネスを回しながら地域の経済や文化に貢献するというもので、まさに渋沢栄一の合本主義に通じるものでした。彼の周りに集まってきた地域の若い仲間の繋がりもよかったので、ここでしかできない何かができると思いましたね。

CAWAZの隣にある、渋沢栄一の歩いた道
CAWAZの隣にある、渋沢栄一の歩いた道

上松:中島さんは以前ソフトバンクにいらっしゃって、中島さんが事務局長を勤めていたBBA(ブロードバンド推進協議会)では私も教育ICTの研究員をさせていただきました。

中島:自分はソフトバンクで地域のICT化推進みたいなことをやっていて、日本各地にIT技術やベンチャー企業の橋渡しをしていたんです。ITは地域課題の解決や街づくりのツールとして有効と考えられますが、そうした活動はいずれも東京からの視点でした。次は地域側の視点で街づくりや地域課題の解決に入ってみたいと考えていたんです。
ソフトバンクを退社するのと前後して、この高麗地区が気に入って2拠点居住を始めました。知らない街に知り合いが増えていくのが楽しくて、自然と街づくり活動にも参加するようになりました。東京育ちで転勤もしたことがないのでとても新鮮でした。

上松:北川さんとタッグを組んで、すごいことが起こりそうですね。

ソフトバンクのBBA(ブロードバンド推進協議会)のモバイルブロードバンドフォーラムで筆者はICT教育WGリーダーとして研究会を開催。こちらは第1回でICT政策の現状から民間のICT教育事例、ディスカッションを行っている様子
ソフトバンクのBBA(ブロードバンド推進協議会)のモバイルブロードバンドフォーラムで筆者はICT教育WGリーダーとして研究会を開催。こちらは第1回でICT政策の現状から民間のICT教育事例、ディスカッションを行っている様子

年齢を超えてダイバーシティの観点で繋がる

北川:中島さんは色々な業界の人を紹介してくれたんです。しかし日本の企業をみると海外の働き方に比べて非合理的、非生産的で自分たちで決めたルールで働いているという感覚がありました。白いシャツでスーツが制服みたいで変だな、と思ったこともあります。
今、実現しているワーケーションはコロナ前からの構想だったんです。地元の観光や資源に付加価値をつけて発信することは大事だと思います。この町の有るべき姿を活かして教育福祉に貢献するのが自分の最終目標です。

中島:私自身ソフトバンクを退社してから大学院に行き、まさにリカレント教育を実践したんです。50歳半ばを過ぎた学生生活は新鮮で楽しかったですね。

中島さん、リカレント教育のため明治大学大学院へ入学した際の様子
中島さん、リカレント教育のため明治大学大学院へ入学した際の様子

研究内容はソフトバンク時代の出来事を振り返るもので、会社も自分も無我夢中で滅茶苦茶なことをやってきた期間を理論的に整理することができました。また、自分の子どもと同年代の学友とのディスカッションも楽しかったです。今までの会社組織や社会の関係性から離れ、新たな価値観を得ることができました。そのタイミングでCAWAZの起業にジョインして、若い北川さんと事業をできたのはタイミングが良かったです。

上松:リカレント教育は受けて次に活かすことだけでなく、人生の振り返りも大事ですね。

中島: リカレントは再教育的に捉えられていますが、振り返りがあるからこそ次につながると思います。実践から学びへのフィードバックもあるし新たな働き方もそこから生まれます。
私は働くこと、学ぶこと、遊ぶことの3つが切り離されるのではなく連続面にあるべきと考えてます。
昔から、「中島さんは遊んでるのか仕事しているのかよくわからない」といわれますが(笑)、あまり線引きせず好きな場所、好きな時間に働く、その中に遊びの要素を見出してきました。
ITは時間と空間を超越するツールで、テレワークやコワーキングはそれを具現化したものです。まさにCAWAZのコンセプト。遊びの中から働きが生まれ、働きも遊びとして楽しめる。働きや遊びを高めるための学びがある。北川さんのいうCAWAZの最終目標の地域教育とはそうあるべきだと思うし、私にとってCAWAZは、その最終目標に向けた「働く、遊ぶ、学ぶ」場所のプロトタイプだと思っています。

インタビューの様子
インタビューの様子

上松:CAWAZで得たものは他に何がありますか。

中島:若い人たちと一緒に同じ目線でやる。これは楽しいです。リカレント教育に関連する話ですが、なかなか定年退職後の起業って難しいでしょう。ビジネスのアイデアや知識があっても起業に必要な気力と体力は衰えます。CAWAZは自分がやりたかったことでもありながら、自分の力ではできないことでもあった。店舗は北川さんや若い人たちで回してますが、みんなと同じ目線を持ちながら、自分の年齢や経験を生かした存在として関係を持っています。

上松:確かにそうですね。

中島:北川さんによると私は「CAWAZのペルソナ」なんです。つまり働く遊ぶ場所として自らCAWAZを使い、CAWAZを作っていく。実は日本ワーケーション協会ワーケーションコンシェルジュなる肩書もあるのですが、ワーケーション実践者としてCAWAZのファシリティやサービスを立てつけています。
また、これは当初からアイデアにあったのですが、最近CAWAZサポーターというボランティア組織が動き出してきました。CAWAZのコンセプトやファシリティを気に入ってくれた社会人や学生が、CAWAZを中核とした街づくりを進めようとしています。参加者は、近隣の人に加え、テレワークを契機に都心から移住してきた人や、都市計画を研究する学生など様々で、周辺の観光、自然観察活動、森林の保護など様々なテーマで活動を計画しています。
ソーシャルビジネスとしてのCAWAZの事業とこれらの街づくり活動がどこかのタイミングで融合することで、次の段階に進めると思っています。

上松:素晴らしい目標ですね。これからの日本の社会に一石を投じる視点がたくさんありました。ありがとうございました。

中島 健雄 氏 プロフィール
東京都文京区生まれ。システムエンジニアを経て2000年よりソフトバンクのグループ会社で動画配信、コミュニティサービスの新規事業を担当。ソフトバンクの通信事業参入後はソフトバンク株式会社の渉外部門に所属、業界団体事務局長を務め、ICT利活用促進、地域情報化、スタートアップ支援事業に関わる。ソフトバンク退職後、家業の製薬会社経営の傍ら明治大学大学院にリカレント進学。ブロードバンド・イノベーション研究(経営学修士) 2016年より東京都文京区と埼玉県日高市高麗に2拠点居住しテレワークで仕事をしながら趣味のマウンテンバイクで遊ぶ。2021年取締役として株式会社CAWAZに参画、2022年から物流企業のCIOとしてDXの推進中。 日本ワーケーション協会認定ワーケションコンシェルジェ。同協会のワーケーションペルソナでは「仕事とプライベートの境目が曖昧で自由な働き方をする多趣味シニア経営者」に分類され、場所を選ばず「働く、遊ぶ、学ぶ」を実践中。

参考サイト
https://cawaz.co.jp/

前編はこちらからご覧ください。

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