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教育にコンピュータサイエンスを【後編】ーすべての子どもにリーチする、スイッチエデュケーション ー|上松恵理子のモバイル教育事情

後編では小室真紀さん(博士)のインタビューをお届けします。小室さんは株式会社スイッチサイエンスの子会社、株式会社スイッチエデュケーションの社長を務めていらっしゃいます。
前回の記事はこちらからご覧ください。

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株式会社スイッチサイエンス 代表取締役社長 金本茂さん

博士号の取得とその価値

上松:ご出身はどちらですか。

小室さん(以下、小室):愛媛県出身です。夏目漱石が有名で、みかん(紅マドンナ)がとても美味しいところに育ちました。数学や物理が好きでしたが、電子工作はしたことがないし、プログラミングをしたこともありませんでした。
父は高校の数学の先生で進路を担当していました。父と今後どんな学部が良いか一緒に見ていて、高校2年生の時、プログラミングができる所ということで父に勧められた中からお茶の水女子大学を選びました。やっぱりコンピュータに関わる仕事をしたかったというのもありまして。

上松:お茶の水女子大学ではどんな研究をされていたんですか。

小室:お茶の水女子大では情報科学を専攻し、ヒューマンコンピュータインタラクション、ユビキタスなど、どちらかというとコンピュータを見えにくくしてより人間の生活を豊かにするような研究をしました。モチベーションが高かったので、研究はとても楽しかったですよ。
在学していた時に博士号を取った人たちで集まると、博士号は努力賞をもらうということじゃないかな、という話をしたりします。研究分野を俯瞰して見る目を養い、文章も書けるようにならないといけないし、英語もできるようにならないと海外に行けません。さらに研究計画書を書く力や、データを見る力をいくつもつける必要がありました。その点は良かったです。

株式会社スイッチエデュケーション 代表取締役社長 小室真紀さん
株式会社スイッチエデュケーション 代表取締役社長 小室真紀さん

上松:何か他に良い点ありましたか。

小室:博士の3年生の時、大手の通信会社の人が研究発表をしていたのですが、学部卒の人は相手にしてもらえないということがありました。やっぱり博士号がいるなと思いました。

上松:そうですね、海外の取り引き先もそうでしょう。博士号を持っている社長って日本と比べてすごく多いですよね。日本は博士号でお給料が高くなるといったことが無いので変だな、と思っています。小中高の教員でも教育学の博士号を持っていてもお給料は変わらないですから。

貧困や格差に関係なく、才能のある子どもたちに教育を届けたい

 

上松:アルバイト先のスイッチサイエンスには博士号を取った後で就職されたんですよね。その後、スイッチエデュケーションの社長となられたんですよね。

小室:スイッチエデュケーションを立ち上げた時に思ったことは、恵まれた子たちがコンピューターサイエンスに簡単にアクセスできる一方、そうでない子も増えてくるのかな、ということです。地方在住の子とかですね。そういう子でも、実際にやってみると好きになってくる子もいると思うんですよ。
お金があって能力もあるという環境にいる子どもたちは問題ないのですが、お金がなくて能力があるケースは課題ですよね。貧困、親の格差に関係なく、特別な才能のある子どもにリーチできなければならないと思っています。

ワークショップの様子

子どもたち上松:貧困の問題は国が解決して欲しいですよね。

小室:あと、お金はあるけどなかなかプログラミングにリーチできてない子どもたちにもアクセスして、次の1歩を踏み出せないかと思うんですよ。だから公教育に入れていきたいというのがスタートでした。

上松:素晴らしいことですね。学校関係はまだなかなかですよね。

小室:学校に簡単に導入できないという難しさがあります。やはり道徳と英語が特別に頑張っている感じで、なかなかプログラミングまではたどり着けません。でもなんとか教育でやりたいと思っていたんですよね。子育てを通して、親の行動に子供が反応するのが面白かったです。なおさら教育をやりたいと思っています。

上松:教育の中にも徐々にマイクロビットを含めた機材や環境が整い始めてきましたが、今実施されているのはICTの導入がメインですよね。海外ですと数学のテストは紙と鉛筆で行わないとか、先進国では黒板とチョークがここ10年以上無いというケースもあります。そこから見たら少しずつは進んできましたが、海外で訪問した高校では100%、1人1台ずつ端末を配布されていましたし、各教室にプロジェクターの設備がありました。高校はパソコン必携が先進国の条件です。

小室:はい、だからそこから一歩進んでプログラミングをさせるということが大事だと思うんですよね。局所的なことかもですが岐阜の大垣市や秋田などでやっているのでお手伝いをしていきたいですし、教室とか塾なども運営していきたいです。

スイッチサイエンス イベント出展の様子 展示ブースにて集合写真

上松:他にも何かやりたいことはありますか。

小室:ライフワークとしてワークショップをしていきたいですね。

上松:私もスノーピークの社外取締役として役員になっていますが、特に小室さんは理系の男性の多い分野ですよね。何か女性で執行役員として参加して思うことはありますか。

小室:私は女子大出身なので女性のコミュニティにいることが多かったのですが、女性だけのコミュニティだと、その場を穏やかに収めるために各個人が少しずつ我慢するということが多かったように思います。結果として衝突が起きにくかったと思いますね。特に問題が起きた時、女性には視点の違う観点があると感じることもありました。

上松:女性だけで運営しているところもありますね。他には何かありますか。

小室:教育にもっとリソースをかけて欲しいですね。人も時間もお金も。

上松:私も百聞は一見にしかずで、日本人を海外へ連れて行くような機会があれば良いなと思っているんです。他にも一緒に何かやれたら良いですね。今日はありがとうございました!

筆者と小室真紀さん
筆者と小室真紀さん
株式会社スイッチエデュケーション
https://switch-education.com/
小室真紀(こむろまき)氏 プロフィール
株式会社スイッチエデュケーション代表取締役社長、博士(理学)。
2012年、株式会社スイッチサイエンスに入社し、専門家でない人でもテクノロジーを楽しめる世界を作ることを目標にマーケティングや広報活動に従事。出産を期に対象を子供や教育に広げて活動する中で、教育向けマイコンボードであるmicro:bitと出会う。2017年5月に株式会社スイッチエデュケーションを設立し、社長に就任。同8月にmicro:bitの日本ローンチを担当し、国内正規販売代理店としての活動を開始。micro:bitを使ったプログラミング教育の普及活動を行っている。

前編の記事はこちらからご覧ください。
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