アップルが2022年9月に発表した「Apple Watch Ultra」はアウトドア利用を考えたスマートウォッチだ。
ケースは耐食性チタニウムを採用し、ディスプレイはフラットなサファイアクリスタル、100メートルの耐水性、そして-20度から50度までの温度環境でも動作する。
今や腕時計は時間を知る装置からスマートフォンのアシスタントとなり、さらに心拍数などの生体データを取得するツールへと変化している。GPSも内蔵するスマートウォッチは登山などのアウトドアでもぜひ使いたい製品だ。
しかしこれまでのスマートウォッチは耐久性が低く、山道で転んでしまった時に地面に打ち付けてしまい画面が破損してしまうこともあっただろう。

Apple Watch Ultraは緊急時に大音量でサイレンを鳴らす機能もあるため、万が一遭難しそうになったとき、あるいは不幸にも遭難してしまった時でも助けを求める手助けをしてくれる。またバッテリー容量は従来モデル比で約8割増えているため長時間の利用にも対応。Apple Watchはスマートウォッチのシェア1位製品だけに、Apple Watch Ultraの登場を待ち望んでいた人も多いだろう。
アップル以外でもアウトドアユースを考えたスマートウォッチが大手メーカーから登場している。サムスンの「Galaxy Watch5 Pro」も590mAhの大容量バッテリーを搭載したアウトドア向けの製品だ。ボディーはチタニウム製、ディスプレイはサファイアガラスとApple Watch Ultra同様のタフな仕様。5気圧防水+IP68防水防塵+IML-STD-810H準拠とハードな環境での使用にも対応している。

ベルトは交換式だが本体と合わせたデザインになっているため純正品以外のベルトはつけにくいかもしれない。なお韓国では本体をまるごと覆うケース型のカバーとベルトのセットも販売されていた。アウトドアで使う製品だけにこのアクセサリは日本などでもぜひ販売してほしいもの。前述したように登山中に転倒してしまったり大木に腕をぶつけてしまうことはよくあるだろうから、がっちりと本体をガードするカバー類があると安心だ。

蛇足ながら個人的にちょっと残念と思うのは製品のネーミングだ。「Pro」という名称からはアウトドア向けというよりも高性能モデルという印象を受ける。そう考えるとアップルの「Ultra」の名称はこれまでの製品との差別化が明確でわかりやすい。サムスンはスマートフォンに「Ultra」の名前を使って差別化を図っているが、スマートウォッチでも同様にわかりやすい名前を付けるべきではないかと感じている。
さてアップルとサムスンのアウトドアスマートウォッチ発売の後を受けて登場したのがファーウェイの「Huawei Watch GT Cyber」だ。円形の本体を取り外しベゼルと一体になったベルトを交換できるシステムの採用はGalaxy Watch5 Proよりもスマートと感じられる。
ベゼル&ベルトはスポーツ、アーバン、ファッションの3タイプを用意。ベゼルごと着せ替えることでスマートウォッチ本体の雰囲気を大きく変えることができる。本体は無線充電に対応、専用の充電台だけではなく市販されているQi規格の充電台が使えるとのこと。

3種類のベゼル・ベルトのうち、スポーツとアーバンのバージョンは側面をがっちりと保護するアウトドア向け風のデザイン。Huawei Watch GT Cyberそのものも50メートルの水中での使用に耐え、また16種類の軍事用品規格にも対応しているという。タフなシーンでの利用にも十分対応できるのだ。もちろんこれまでのファーウェイのスマートウォッチ同様、動作時間は長く安心して使うことができるだろう。

スマートウォッチは様々な機能が搭載されていることからIT製品とみられがちだが、24時間常に肌身離さず身に着けるファッションアイテムでもある。一般的な腕時計も様々なデザインの製品があり、G-SHOCKに代表されるタフ仕様の製品もあることから、スマートウォッチにも同様の製品が出てくることは当然の流れだろう。そのG-SHOCKからもスマートウォッチ「G-SQUAD PRO GSW-H1000」が発売中だ。

スマートウォッチの普及率は日本では約4割と言われている。アウトドア向けの製品が出てきたことでこの比率もより上がっていくだろう。高級ブランド品やファッションブランドとのコラボなど、様々なスマートウォッチがこれからも出てきてほしいものだ。