2万mAhバッテリーは最強、基本スペックも高い

防災に使える?100日間待ち受け可能な「万アンペア」電池搭載スマホが登場|山根康宏のワールドモバイルレポート

最近のスマートフォンはほとんどのモデルが5000mAh程度のバッテリーを搭載しており、一般的な使い方なら一日十分使い続けることが可能だろう。とはいえ動画を見たり写真を多数撮影するとバッテリー容量はみるみるうちに減っていく。そのためモバイルバッテリーも合わせて持ち運ぶ人が多いだろうが、帰宅後にスマートフォンとモバイルバッテリーの両方を充電するのも面倒だ。特にスマートフォンは急速充電に対応し1時間程度である程度充電できるモデルが増えているのに対し、モバイルバッテリーはまだまだ充電に時間がかかる。

スマートフォンをハードに使うなら、スマートフォンの内蔵バッテリーを大型化すればよい。とはいえバッテリーを大きくすれば本体サイズも大型化してしまう。そこでそのデメリットを逆の発想で活用し、タフなボディーに身を包んだアウトドア向けのスマートフォンがとてつもない容量のバッテリーを搭載してきた。2022年11月に2社から特大容量バッテリースマートフォンが相次いで登場している。

Unihertzの「TANK」は2万mAhのバッテリーを搭載している。一般的なスマートフォンの4倍以上の容量だ。しかも66Wの急速充電に対応し、1.8時間の充電で90%まで充電できるという。これなら深夜遅くに帰宅してバッテリーが切れていても、就寝しているうちに完全に満充電できるだろう。

Unihertzの「TANK」
Unihertzの「TANK」

2万mAhものバッテリー容量があるとどれくらいのことができるか想像もつかないが、通話は150時間、すなわち6日ちょっと利用できる。また待ち受け時間は2380時間、日数にすると99日だ。一度充電しておき、防災用品の中に電源をいれたまま入れておいても約3か月と3週間、待ち受けのまま放置しておけるのだ。防災用のスマートフォンとして使うのもいいかもしれない。

Unihertzは世界最小のスマートフォンや、キーボードを搭載したスマートフォンを出すなどちょっと変わった製品を作り続けてきたメーカーである。メジャーメーカーほどのブランド力は無いものの、グローバルに製品展開をしており知る人ぞ知るメーカーだ。日本でもクラウドファンディングを使って同社のスマートフォンを買った人も多い。日本を意識して技適を取得したモデルも提供している。まだまだ無名だが、スマートフォン開発の力は十分持っているメーカーなのだ。

TANKはスマートフォンとしての性能も悪くない。チップセットはメディアテックのHelio G99を搭載、5G非対応で4Gのみ対応だがそこそこの性能だ。ディスプレイは6.81インチと大きく、カメラは1億800万画素を搭載。さらに2000万画素のナイトビジョンカメラを搭載し、夜間のアウトドア撮影に威力を発揮する。さらにフロントカメラも3200万画素と高画質だ。望遠や超広角が無いものの、標準広角カメラだけでもきれいな絵が撮れるだろう。

2万mAhバッテリーは最強、基本スペックも高い
2万mAhバッテリーは最強、基本スペックも高い

価格は約400ドルと高くはない。唯一の欠点と思えるのは本体サイズで、175.6 × 85.30 × 23.9ミリと厚みがあるのは仕方ないとして、重量は560グラムもある。それでもスマートフォンとモバイルバッテリーを2つ持ち運ぶのならば、1台で長時間使えるTANKにも十分な利点があるだろう。

2万mAhもバッテリーは無くていい、という人向けにはOUKITELの「WP21」がお勧めだ。こちらは約1万mAhのバッテリー(9800mAh)を搭載する。TANKの半分だが、それでも一般的なスマートフォンの倍の容量である。こちらも66Wの急速充電に対応、通話68.5時間、待ち受け1150時間、ビデオ再生12時間が可能だ。日帰りや1泊2日でハイキングに行く人が、万が一モバイルバッテリーを持ち忘れてしまっても、帰宅までに十分バッテリーが持つだろう。

OUKITELの「WP21」
OUKITELの「WP21」

WP21は背面に円形のサブディスプレイも搭載しており、時計や通知を表示したり、電子コンパスを表示することもできる。登山中に方向を知りたいときに、方位磁石と併用すればより正確な方向もわかるだろう。またカメラは6400万画素を搭載。Tank同様に2000万画素のナイトビジョンも搭載し、さらに200万画素のマクロも備える。チップセットはHelio G99、画面サイズは6.78インチだ。

そして本体サイズは177.3 × 84.3 × 14.8ミリ、重量は398グラム。TANKより約160グラム軽いため、これなら片手でもまだ持てるだろうか。どちらの製品もターゲットはアウトドアやプロユースなので、普段はバックパックにストラップでぶら下げて持ち運ぶのもいいかもしれない。価格は280ドルである。

他のスマホを充電できるリバース充電にも対応
他のスマホを充電できるリバース充電にも対応

この手の大容量バッテリー搭載スマートフォンは、中華ECサイトで検索すると無名メーカーの製品がいくつか見つかる。しかしそれらの製品は実際のバッテリー容量がカタログ値より小さいことが多いし、何よりも本体の品質にバラツキがある。タフボディーを謳うのに落としたら破損してしまう製品もある。しかし名前の通ったメーカーが特大容量バッテリーを搭載するスマートフォンを作ってこなかっため、信頼性に疑問を持ちながらその手の製品を業務用に使用しているケースもあるという。

しかし今回紹介した2つのモデルは中堅どころのメーカーとして世界中で製品を販売しており、品質も十分である。世界のスマートフォン市場は大手メーカーに集約が進み、シェア下位メーカーは生き残りが難しくなっている。TANKもW21もニッチ向けな製品ではあるものの、これらを必要としているユーザーは確実にいるだろう。特にTANKの99日連続待ち受けは防災用途として評価されてもいい機能ではないだろうか?

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