Flex-Stop Modeで使い勝手はさらに高まる

普通のスマホと同じ大きさ!極薄軽量折りたたみスマホが登場|山根康宏のワールドモバイルレポート

スマートフォンの中でも本体を開けば小型タブレットになる横折り式のスマートフォンの数が少しずつ増えている。とはいえ一般の人たちにとって折りたたみスマートフォンを選ぶ必要性はあまりないのが実情だろう。
一番のネックは本体サイズで、たとえばサムスンGalaxy Z Fold4は閉じたときの大きさが 155.1 x 67.1 x 14.2から15.8mm、重量は263gだ。大型のスマートフォンの代名詞ともいえるiPhone 14 Pro Maxは160.7 x 77.6 x 7.9mm、240g。Galaxy Z Fold4のほうがスリムとはいえ、本体の厚みは倍近くある。また重量も重い。混雑した電車の中で、片手で使うには重量級の製品なのだ。

折りたたみスマートフォンの代名詞、サムスンのGalaxy Z Fold4
折りたたみスマートフォンの代名詞、サムスンのGalaxy Z Fold4

しかし普通のスマートフォンと変わらない大きさの折りたたみスマートフォンなら使い勝手は大きく変わる。
ファーウェイが2023年3月に発表したMate X3は、閉じたときの大きさが156.9 x 72.4 x 11.8mmで、サムスンの製品よりも最大25%も薄く、iPhone 14 Pro Maxより3.9mm厚いだけだ。しかも重量は239gで、より軽くなっているのである。
実際にMate X3を閉じたまま持ってみると、もはや普通のスマートフォンを握っているような感覚になる。ここまで薄ければ、もう折りたたみスマートフォンを選ばない理由は無いと言えるかもしれない。

極薄サイズの折りたたみスマートフォン、ファーウェイMate X3
極薄サイズの折りたたみスマートフォン、ファーウェイMate X3

しかもMate X3は本体を開くと厚みはわずか5.3ミリとなる。ここまで薄いスマートフォンやタブレットはほとんどなく、世界最薄クラスと呼べる厚さだろう。雑誌や書類の間に挟んでおいても違和感の無い厚みであり、ハンドリングの良さからあえてたたまずこのまま持ち運んでもいいと思えるサイズである。
しかもこの薄さのボディーには4800mAhのバッテリーを内蔵し、5000万画素のカメラも搭載。スマートフォン本体の性能も高い。

開くとわずか5.3mmの厚さになる
開くとわずか5.3mmの厚さになる

また本体を折り曲げた状態で使える「Flex-Stop Modeにも対応し、机の上にMate X3を置いて動画を見たり、あるいは内側のカメラを使ってビデオ会議を行うこともできる。開いて閉じることができるだけでは「スマートフォン+タブレット」という1台2役しかできないが、Flex-Stop Modeが加わったことで、Mate X3は1台で3役をこなすこともできるのだ。このモードはサムスンの折りたたみスマートフォンが率先して採用し、アプリケーションによっては折り曲げたディスプレイのそれぞれに別の内容を表示するなど使い勝手も高めている。たとえばビデオ会議なら上半分にビデオ画面、下半分は操作画面、といった具合だ。

Flex-Stop Modeで使い勝手はさらに高まる
Flex-Stop Modeで使い勝手はさらに高まる

さらにIPX8の防水にも対応しているので多少の水がかかっても故障の恐れはない。実は折りたたみスマートフォンは大きなヒンジがあるため、水が本体内に侵入しやすい。現時点で折りたたみスマートフォンで防水対応のモデルはサムスンの製品とこのMate X3のみ。折りたたみスマートフォンを防水に対応させるのはなかなか難しいことなのだ。

本体の厚みだけでいえば、シャオミのMi MIX Fold 2が 161.1 x 73.9 x 11.2mmと、Mate X3よりも軽い。発売は2022年8月。しかしそれほど大きな話題になっていないのは、重量が262gあること、発売が中国国内だけだったからだろう。シャオミとしてはサムスンよりも1g軽いことをアピールしただろうが、250gを超えるスマートフォンはそもそも重すぎて一般の人には手を出しにくい。

11.2mm厚のシャオミMi MIX Fold 2
11.2mm厚のシャオミMi MIX Fold 2

ファーウェイはアメリカ政府の制裁の影響を受け、スマートフォンを自由に開発できない状況になっている。また5G技術の使用にも制限がかかっており、Mate X3もチップセットは5Gに対応するクアルコムのSnapdragon 8+ Gen 1を採用しているが、ファーウェイ向けとなる4Gのみに対応したものを搭載している。さらにグーグルサービスの搭載もできず、ファーウェイが独自に開発を勧めている「HarmonyOS」と、自社のエコシステム「HMS(Huawe Mobile Services)」を使用。Mate X3はグローバルにも販売される予定だが、このあたりで特に先進国の消費者は手が出しにくい製品になってしまうだろう。

しかしグーグルサービスが不要な中国では、Mate X3は他社のハイエンドスマートフォンを買っていたユーザーを乗り換えさせるだけの魅力ある製品として人気になるだろう。実際に発売直後から予約が殺到しているというニュースもあるほどだ。そしてこの人気は折りたたみスマートフォンの認知度をより高めるものになるだろう。
こうなると同じ折りたたみスマートフォンを出している他社もうかうかしてはいられず、折りたたみスマートフォンの薄型軽量化が一気に進んでいきそうだ。その結果、折りたたみスマートフォンのユーザーが急激に増えていくかもしれない。Mate X3の中国での動向は、スマートフォン全体に大きな影響を与えるものになるだろう。

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