みなさん、こんにちは。座布団と幸せを運ぶ内田でございます。
昨年発表された App Annie の調査でアプリストアの売り上げが米国を抜いて首位になった日本。ガンホーの「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」や LINE のソーシャルアプリなどが登場、9 月の NTT ドコモの iPhone 投入などが重なっての急成長したとみられている。
一方、アプリ開発者の動向からみた市場規模はどうだろうか?Vision Mobile が発表したアプリ開発者を対象とした世界最大級の調査「Developer Economics Q1 2014」(全世界 127 国、7,000 人のアプリ開発者を対象とした調査)では、1 ドル 100 円換算(以下同)で、2013 年で 6.8 兆円、2016 年には 14.3 兆円規模に成長すると予想されている。アプリ開発者の世界分布は、アジアが 76 万人、欧州と北米が 68 万人だった。
アジアでは Android 優勢
出典: Developer Economics Q1 2014
上記の表は、五大開発プラットフォームにおける市場シェア、開発者のマインドシェア・優先度・ロイヤリティ、平均収益などをまとめたものだ。
海外、特に欧米では Android ファーストの開発が主流かと思いきや、欧米は iOS、アジアでは Android を優先しているようだ。日本では開発元の方針によりマチマチだと思われるが、国内向けアプリの開発では iOS を優先している開発者が多いのではないだろうか。なぜなら日本では世界シェアに逆行して iOS のシェアが高いからだ。
一方、気になる第三の選択肢として Windows Phone ではなく HTML5 が勢力を伸ばしている点が興味深い。今のところ、Facebook の CEO、マーク・ザッカーバーグ氏が「HTML5 に懸けたの失敗」(2012 年)と語ったり、ドコモの Tizen 搭載スマホが無期限の延期 するなどネガティブな印象が強かった HTML5 だが、au が 来年度に Firefox OS 搭載スマホを発売 すると発表するなど、相変わらず期待値は高いようだ。
収益面では iOS が優勢
出典: Developer Economics Q1 2014
上記の図は、 アプリの月次収益をベースにした開発環境ごとの分布をあらわしたものだ。収益面では iOS が Android を上回っている。欧米では、Android の市場シェアにもかかわらず、Android よりも iOS を優先しており、こうした構図においては、収益が重要な要素となっているようだ。
スマートフォンは Android、タブレットは iOS 優先
出典: Developer Economics Q1 2014
上記の図は、アプリ開発者からみたアプリ端末機器(スマートフォン、タブレット、PC、フィーチャーフォンなど)の優先度をあらわしたものだ。スマートフォンが圧倒的な指示を得ている一方、第二優先度としてタブレットが PC を大きく上回った。今後はモバイル・ファースト開発が主流となるだろう。
なお、端末別では、スマートフォンは 40% が Android(iOS は 31%)、タブレットは 52% が iOS(Android は 28%)を優先している。端末別で Android と iOS のシェアが逆転している点は開発者にとって悩ましいはずだ。第三の選択肢として HTML5 が勢力を伸ばしているひとつの理由だろう。
EC が最も儲かるマネタイズ戦略
出典: Developer Economics Q1 2014
上記の図は、アプリ開発の収益状況を直接収益と間接収益に分け、それぞれの比率および平均収益をまとめたものだ。直接収益には、受託開発やダウンロード課金、アプリ内課金などが含まれる。間接収益にはアプリ内広告や EC、アフリエイトなどが含まれる。
最も注目したいのは、EC の売上が他の課金形態を圧倒している点だ。今や EC こそが最も儲かるマネタイズ戦略となっている。日本でもスマートフォンの EC 市場は着実に成長しており、2015 年には 2 兆 6,677 億円に拡大する と予想(矢野経済研究所)されている。モバイル・デバイスによる購買比率が物品系では 20%、アパレル系では 30% を超えるサイトも出始めており、EC を利用していなかったユーザ層がスマートフォンによって積極的に EC を利用するようになっているようだ。モバイル・ファースト開発は当然、アプリ開発では EC が今年の再注目キーワードになりそうだ。