冒頭から脱線します。以前、このコラムにて国内のスマホシェアは7割という数字をご紹介しましたが、2014夏を前にその牙城が崩れつつあるようです。売上トップ10中、XperiaのZシリーズが4機種もランクイン。まだまだ会社としては相当苦しいようですが、頑張れソニー!と心からエールを送りたいです。
スマホをパワーアップさせるケースが続々登場している
さて、今回のお題は、端末、SIMときてスマホの「ケース」や周辺機器のお話。これまでは本体を保護する、もしくは見た目のカスタマイズ目的のための「アクセサリー」というケータイストラップと同じポジションでしたが、変化は2月のMWC以降から現れてきています。どういうことかというと、外部バッテリー、Bluetooth、Qi、WiFiやNFCなどの機能を付与したケースが続々と登場しているのです。ちなみにMWC2014の会場ではNFCを内蔵したスマホケースが配布されていて、入場券もしくはSuicaのような使われ方をしていました。
外部機能にすることでスマホ本体のデザイン自由度が上がる
Bluetooth周りも進化しています。これまではBluetoothのヘッドセットやワイヤレスキーボードをスマホやタブレットで使用するたびに「ペアリング」の設定や認証の待ち時間が発生していましたが、購入後初回の設定以降はユーザー側のセッティングが不要になってきています。あるメーカーではBluetoothを搭載したケースを開発中。ケースと携帯電話を同時に利用することにより専用のコンテンツが表示されるという物もあるそうです。ロールプレイングゲームの「アイテムが揃うとヒントがわかる」みたいな仕組みでちょっとワクワクしますね。
Qi(ワイアレス給電)機能付きのケースも忘れてはなりません。これまで端末本体にQi機能を搭載する場合、厚みやアンテナの位置の問題がネックだったのですが、スマホケース側に実装することで「どのスマホでもワイアレス給電可能」という所までほぼ来ています。Qiだけでなく標準的なMicroUSBポート付きのバッテリー内臓ケースも人気。iPhone専用のケーブルを忘れたときにAndroidユーザーの友達のケーブルを借りて充電できます。
その機能のために気になっている端末を諦めなくても良い、デザインや好きな色で選んで良いというのはかなりの進化です。これで前回お話ししたSIMフリーが標準化すればユーザーの選択の幅が相当広がると、私は期待しています。こういったトレンドが生まれる背景には、やはり技術革新があってこそ。スリムで高容量な内臓バッテリーと、消費電力が数年前に比べて格段に低くかつ解像度もアップしたスリム液晶が実現したのが大きいでしょう。
変わり種のケースにも要注目!
少々変わったところでは、電気を使わない機能付きケースもあります。日本国内では買えないのですがサバイバルツールをセットできるスマホケースも存在します。いわゆるアウトドア用品でいうところの10徳ナイフです。ただ、これでネジを回したり、キャンプで肉を切ったりするのはかえって使いづらい気もするのですが…しかしアイディアとしてはアリ。スマホ本来の用途以外の機能付きケースという意味で、その心意気は大いに評価したいところです。
こういった一部の機能をスマホ本体から外部へ移動することにより、携帯電話自体もいまよりもっと小型化したり、それまで使えなかった機能をプラスすることが可能になります。iPhoneでFelicaが使えるようになるのも、もはや時間の問題。機能付きのケースは、これまでのスマホ選びで「これで~があれば完璧なのに!」というユーザーの惜しい!を解決する、ソリューションアイテムになりつつあるようです。
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